この記事の連載
- 甲斐翔真インタビュー【前篇】
- 甲斐翔真インタビュー【後篇】
お互いに信頼して、ふざけ合える盟友・望海風斗との共演
――母親と息子の関係性に迫っていく物語なんですね。
“自分の母のことを学ぶ”って、言葉にすると少しおかしいですよね。でも、当時は今の親と子の認識とはかなりかけ離れていて、王妃はとにかく次の王を産まないといけないという時代です。今とは関係性は違うといいつつ、それでも“血の繋がり”といった本質は変わらないのではないかとも思うんですよね。
母親をすごく嫌っているけれど、心のどこかには母親を信じたい、理解したいという気持ちがあり……。そこから、どう物語の中にドラマを見つけていくかというお話です。末満さんが描く物語ではイザボーとシャルル七世だけでなく、ほかにもイザボーは様々な人間と対立していきますが、僕(シャルル七世)が最も観客の皆さんに近い感覚で、俯瞰して物語、そして母親を見ていくのだと思います。
――母親役のイザボーを演じられるのは望海風斗さんです。
はい。『ネクスト・トゥ・ノーマル』では親子を演じ、『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』では恋人役で、『イザボー』ではまた親子に戻ります(笑)。
――とても短い期間に何度も共演されるのは、本当にご縁がありますね。甲斐さんからご覧になった望海さんはどんな方ですか?
役柄だけで見ていると、強いとかカッコいいとか、シュッとしたイメージがあると思うのですが、全然逆(笑) ふたりでずっとふざけている感じです。だからすごく相性がいいと思っています。
――ふざけているというのは、意外です(笑)。
そうですよね。ちゃんと向き合って、何度もお芝居をしてきて思ったのは、そこ(笑) でも、作品を重ねて関係性を築いてきたので、すごく信頼できる方です。何を投げてもちゃんと返してもらえるんですよね。
――甲斐さんしか知らない、甲斐さんと望海さん、おふたりのエピソードなどはありますか?
僕、本番中もそうなんですけど、昨日のことを忘れちゃうタイプなんです(笑) 昨日やったことが分からないから「毎日違うね」って言われるんです。その瞬間、瞬間でしかやってないので、記憶がすべて流れていくというか。
だから、望海さんが母親役、恋人役だったことも、ある意味忘れている感覚。もちろん役者同士の関係性は保ったままですけど、またゼロからスタートです。役柄として冷たいと思われるくらいに、本当に過去は振り返らない(笑)。『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』の舞台が終わったら、翌日にはクラシックコンサートへ行ったりして、もう別人ですから。
――確かに。公演中でもインスタグラムでも、いろんなところへ行かれている姿をアップされていますよね。
そうなんです。ちなみに、この取材の数日前までは、フランスにいました(笑)。
――本場の『ムーラン・ルージュ!』も観られますね!
そうなんです、でもパリがファッションウィーク間近だったことと、ラグビーのワールドカップもあって、世界中からフランスに人が集まっていたから、全然チケットが取れなくて……。『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』を観るために行ったのに、取れなかったらどうしようかと(笑) ギリギリ、観劇できました! こうやって“前に進むこと”しか考えていませんね。
甲斐翔真
東京都出身、1997年11月14日生まれ。2016年に『仮面ライダーエグゼイド』のパラド/仮面ライダーパラドクス役でデビュー。テレビだけでなく映画界にも進出、活躍の場を広げる。初舞台を踏んだ2020年の『デスノート THE MUSICAL』以降、同年に『RENT』のロジャー役、翌年は『マリー・アントワネット』のフェルセン伯爵役、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』のロミオ役(主演)などに出演、ミュージカル界でスターダムを一気に駆け上がる。2022年~23年にかけてはミュージカル『エリザベート』にてルドルフ役に抜擢。『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』ではクリスチャン役をWキャストで演じる。
MOJOプロジェクト -Musicals of Japan Origin project-
ミュージカル『イザボー』
【東京公演】2024年1月15日(月)~1月30日(火)会場:東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
【大阪公演】2024年2月8日(木)~2月11日(日・祝)会場:オリックス劇場
https://isabeau.westage.jp/
2023.11.30(木)
文=前田美保
写真=佐藤亘
スタイリスト=伊里瑞稀
ヘアメイク=ASUKA(a-pro.)