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心電計をつけて抗がん剤点滴をしながらココアを買うために走る…!

 病棟の談話室で話していたら、いきなり暗い顔になって「邑ちゃん、お母さん気持ち悪い」と言い出したこともありました。どうやら朝ごはんを食べずにお見舞いに来て、すぐに談話室ではしゃいで、低血糖を起こしたようです。「座ってて」と私は点滴スタンドをカラカラと引き回しながら、自販機までココアを買いに走りました。

 ホルター心電計をつけて抗がん剤点滴してる娘が母にココアを買うために走っている図はちょっと笑えました。すぐに「治った」と言って、いつもの調子に戻る母を「世話が焼ける」なんて思いながら、実際、助けられることは多かったです。

 母は最初の2カ月くらい、ずっと病室に通い続けてくれました。

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私は元気です 病める時も健やかなる時も腐る時もイキる時も泣いた時も病める時も。

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文藝春秋
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2023.12.02(土)
著者=後藤邑子