新規参入が不可能と言われている日本酒の世界。その中で「クラフトサケ」という新たな酒を造り、今注目を集めている醸造所が秋田県男鹿市にある。
「稲とアガベ」と名付けられたその醸造所では、「男鹿の風土を醸す」という会社の経営理念を体現するかのように、酒だけでなくさまざまな試みを男鹿駅を中心に行っている。
今年の4月には酒粕などの酒造りの過程で生じる副産物を新たに生まれ変わらせる食品加工場&ショップ「SANABURI FACTORY」を、そしてこの8月にはなんとラーメン屋「おがや」をオープンしたのだ。
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まだまだ男鹿市は発酵の途中
2023年8月4日、JR男鹿駅からすぐの場所にラーメン屋「おがや」はオープンした。ラーメン専門店がないこのエリアではおいしいラーメンを食べようとするとわざわざ遠出をしなくてはならなかったという。
「以前の男鹿駅前はまさに繁華街だったと言います。多くの人が行きかい、賑わっていた。この場所もラーメン屋だったそうなんです。でも今では町を歩いている人も少なくなってしまっている。そんな男鹿を活性化させたいし、地元の人が気軽にラーメンが食べられるようにしたい、そんな思いでオープンしました」
そう語るのは「稲とアガベ」代表の岡住修兵さん。イベントの際にオリジナルのラーメンを提供していたところ、たくさんの地元の人から「こんなおいしいラーメン屋が男鹿にあったらうれしい」との声を受け、実現させたという。一見醸造と関係がないかもと思ったラーメン屋だが、そんな縁があったのだ。
2023.10.27(金)
文=CREA編集部