安易な白髪染めデビューもオススメしない

 抜いてはいけないのであれば、どのように対処すべきなのでしょうか。ついに生えてきてしまった白髪を前に、自分のお母さん世代の白髪染めを見ながら、「私も白髪染めデビューか」と悲しい気持ちになってしまう方もいるかもしれません。

 ですが、白髪が数本のうちは「お洒落染め」で大丈夫です。お洒落染めは白髪にもうっすらと着色されるため、引いた場所からは白髪は紛れて見えます。また、代替案として、美容師さんにお願いして「全体ではなく、気になる箇所だけ」白髪染めをしてもらうことも可能です。

 白髪染めは、全体的に白髪が見えるようになってから移行する方が良いでしょう。というのも、美容師にとっては、安易に白髪染めは勧められないからです。

 白髪染めの薬剤は、自然な茶髪にする「お洒落染め」よりも刺激が強く、髪がダメージを負いやすい特徴があります。また、一度白髪染めで染めた髪は、「もうちょっと髪色を明るくしたい」といった調節が利きにくくなります。

 前提として、「白髪染め」は、染めた白髪が黒いままキープされます。これは黒い色素が褪色(色が抜けること)しないようにするために、髪の中で大きくなり、入った隙間から抜けないように設計されているからです。そのため、白髪染めを続けている方は、繰り返し毛先を染め直す必要がなくなります。

 その反面、白髪染めで一度暗く染まった髪を明るくするには、黒い色素が邪魔になってしまいます。どうしても明るくしたい場合、「ブリーチ」や「脱染剤」と呼ばれる薬剤を使うことになり、必要以上に髪にダメージを重ねるキッカケになってしまいます。

 つまり、染めた後に「やっぱりやめよう」とするのが難しい。そのため美容師側も、安易に白髪染めの薬剤を使うことはしないのです。

2023.09.24(日)
文・イラスト=操作イトウ