最後に、三つめに関しては、遣隋使の外交態度を倭の五王のそれと比較する古代2の問題や、江戸時代における「鎖国」下の日中関係について問う近世4の問題が、先に述べた私たちに具わる外交能力に関わります。また、中世における皇位継承のあり方を問うたのが中世1の問題です(その他、古代3や中世2の問題も皇位継承に関係します)。さらに、史料や絵図を用いて中世の農村のあり方を問う中世3の問題は、現代の農業が抱える課題や、これからの教育のあり方についても考えさせられます。

 前置きが長くなりましたが、本書では、以上の点を踏まえ、「良い問題」の良さを十分に引き出すべく、言葉に魂を込めて書きました。ですので、皆さんもどうぞ二度読んで、その奥深さを味わい尽くしてください。一度めは、歴史を学ぶ楽しさを体感するために。二度めは、歴史を学ぶ意味を理解するために。


<まえがきより>

2023.09.18(月)