ラブ要素にあふれた傑作家族ドラマ「家門の栄光」

高橋 ラブ要素多めの家族ドラマの傑作といえば、「家門の栄光(★)! 

安部 パク・シフ演じる冷徹な成金息子が、ヒロインを愛することで変わり、葛藤する姿に萌えました。

高橋「バリでの出来事(※6)も、ズブズブにハマった思い出深い作品。ソ・ジソブとチョ・インソンという2人のいい男がハ・ジウォン扮するヒロインを奪い合うシーンが延々繰り返されるドラマです。

安部 ヒロインがどっちを好きなのか、最後までわからないのが新鮮でした。

高橋 私はソ・ジソブが好きだから、彼の演じるイヌクとくっついて~と祈りながら観てました(笑)。ヒロインを奪われたイヌクが部屋で涙するシーンは切なかったな。富裕層が貧困層を虐げるシーンをガンガン描いていることも衝撃的でしたし、底辺から成り上がっていこうとする貧困層の野心も、韓国ならではだなと。男の嫉妬が露骨に描かれているのも面白かったですね。

「宮(クン)~Love in Palace」
'06年・全24話/立憲君主制下、平凡な女子高校生が皇太子に嫁ぐことになり……。/CJ E&M Japan・エスピーオー/エスピーオー/DVD-BOX1、2 各¥18900(ディレクターズ・カット版)

安部 男の嫉妬が観たい人には、「宮」もおすすめです。チュ・ジフンとJohn-Hoonという2人のイケメン王子が嫉妬心むき出しでヒロインを奪い合うストーリー。とはいえ、こちらはドロドロ系ではなく、キュートなラブコメですが。

高橋 王子2人ともいい男だから、ヒロインと一緒に観ているこっちも気持ちが揺れちゃって(笑)。

安部 愛に苦悩する男の姿をきちんと描くのが、韓流ドラマのロマンなんです。男の人がなりふり構わず嫉妬するドラマなんて日本にはほとんどないじゃないですか。女のことで悩んでシャワー浴びるとか、やけ酒飲んで飲み屋の女の子に辛く当たるとか(笑)。

高橋 そういう「あるある」シーンがたまらない(笑)。でも、韓国ドラマには“字幕マジック”も大きいと思う。日本語を耳で聞き取るだけだと意味がすーっと流れてしまうけど、字幕を目で追うことで言葉の意味が頭に残って、「すごく素敵なセリフだな」と余計に感じてしまう部分があるのかも。

安部 韓国ドラマって人生の教訓をセリフに入れてきますしね。

高橋 「家門の栄光」のおじいさんは名言続出でした。「夫婦は別れたら他人だが、親が子を思うように互いに慈しみ合えば性別を超えた大切な関係になる」とか「自分を粗末にする者は人からも大切にされない」とか、さすが名門一族の家長!

※6「バリでの出来事」('04 SBS 全20話)
出演:ハ・ジウォン、ソ・ジソブ、チョ・インソン
「夜中にヒロインの家を訪ね、すぐ帰る……と思わせて不意打ちキス! そんなソ・ジソブに卒倒」(高橋)。

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2014.01.01(水)
臼井良子=文

CREA 2014年1・2月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

運命の映画 最愛のドラマ

CREA 2014年1・2月合併号

運命の映画 最愛のドラマ

定価 670円(税込)