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 街の中料理店には冷やし中華メニューが並び、こうも暑いとついつい手がのびます。「冷やし中華」は日本の夏の風物詩のひとつです。

 では、中華料理店がずらりと並ぶ横浜中華街ではどうなのか? そこはオリジナリティ溢れる冷たい麺がしのぎを削る激戦区。何度も足を運びたくなる冷麺ワンダーランド!

 #03は、横浜のクラシックホテル「ホテルニューグランド」の副総支配人・谷口謙一郎さんがプライベートで食べている冷たい麺をご紹介。1軒は中華街を飛び出し、馬車道のお店を教わりました。

» #01 横浜中華街で冷たい麺を食べ尽くした“ハマの冷や中刑事”がこっそり教えるこの夏、必食の3杯は?
» #02 【横浜中華街】取材&偏愛歴13年! ベテラン食ライターが伝授するちょっと珍しい冷たい麺【3選】


◆華錦飯店の冷やしジャージャー麺

「お魚屋さんがやっている、リーズナブルな魚料理が味わえる中華料理店ですが、実は肉みそ餡の『冷やしジャージャー麺』もお気に入り。いかにも町中華らしい餡で、どこか懐かしい味。よく混ぜて食べる事をおすすめします」(谷口氏)

 とろりとした肉みそ餡は粗挽きの肉がゴロゴロと入っていて、ひと口目は甘く感じますが、後からどんどん辛さが追いかけてくるピリ辛スパイシー系です。花椒のしびれるような辛さの中に、隠し味に入れた生唐辛子の鮮やかな辛さがきらめきます。

 麺と同じくらい太く切った生ネギの辛さやシャキシャキ感、きゅうりの爽やかさが濃厚な餡のアクセントになって、シンプルなトッピングでも最後まで飽きずに食べられます。

 麺は着色料や保存料を一切使っていない「東成軒」の特注麺が280グラムとたっぷり! 氷できゅっと締めた中太麺はシコシコのしっかりした噛み応えで、アツアツの餡と冷たい餡の温度差もいい感じです。

 ツウな常連客はトングをオーダーし、トングをねじりながら回して(パスタをフォークに絡めるように)餡を徐々に混ぜていきます。すべての具材が混然一体となった妙味、これぞこの麺の真骨頂です。

 さらに、途中で酢やラー油をかけ、味変してみて。酢をかければ後味さっぱり、ラー油をかければ風味が激変し、またさらに食欲を誘ってきます。

 冷やしバージョンは知る人ぞ知る裏メニュー。メニューには普通の「ジャージャー麺」(1,100円)しかのっていないので、「冷やし」とひとこと添えて注文することをお忘れなく。

華錦飯店(カキンハンテン)

所在地 神奈川県横浜市中区山下町126-22
電話番号 045-212-3853
営業時間 11:00~15:00、17:00~22:00(L.O.21:30)※土・日曜・祝日は通し営業
定休日 不定休
交通 みなとみらい線元町・中華街駅より徒歩4分

2023.08.11(金)
文=嶺月香里
撮影=鈴木七絵