「健康であれば、楽しいおじいちゃん生活が待っているはず(笑)」
――柔軟にご自身を変化させているということですよね、素敵ですね。
こうなるとは思っていなかったよね(笑)。料理に関して言えば、もともと友達に料理好きがいて、コロナ禍でうちに来て作ってくれたんです。「こうやってやるんだよ」と簡単なものを教えてくれたのがきっかけで、僕は料理に目覚めました。自分で料理アプリをいろいろ見始めて参考にして、失敗したり、成功したり。そういうこともちょっと楽しいかな。
――「生活することを楽しむ」を体現されているお話だと思いますが、ほかにも生活の楽しみは最近ありますか?
ありますよ。毎日コーヒーをドリップで淹れたりしています。お店で好きな豆を選んで、その場で挽いてもらって「今日はこれにしようかな」と楽しんでいますね。これは、もう日課です。
――今後ますますこんな風に日々を過ごしていきたい、アップデートしていきたいという願望もありますか?
今後か……。まずは健康であれば、楽しいおじいちゃん生活が待っているはず(笑)。日常の楽しみだと、最近はやっぱり美味しいものを食べる、美味しいお酒を飲むこと、かなあ。あとは新しいお店を探す、飛び込む、とかも好きですね。
――飛び込みでお店に入ったりもなさるんですか?
そういうのも楽しいなと思いますよ。もちろん「椎名が来た」と言われる日常がどこかにあるわけじゃないですか。なるべくそういうものから解放されて、日常というものをもっと自由にしたいなと思うんです。自分の気持ちひとつで変わるわけだし、そういうことを考えながら街を歩いたりしています。年々変わってきたところかもしれないですね。
これからの5~10年でいえば、自分なりにもっと成長したいです。自分の年齢に沿った役をできなければいけないし、人に対しても、そういう年齢のお話や見方ができなければいけないなと思いますから。
いろいろな知識や経験も当然必要ですけど、気持ちはどんどんもっと自由になっていくことが、表現者としての自由にもつながるんじゃないかと。僕らの仕事は必ず共同作業ではあるんだけど、より楽しくおおらかに仕事ができるような、そんな自分になってみたいですね。
――刺激になるお話をたくさんありがとうございます。ここからは最新主演作『連続ドラマW 事件』についてお聞かせください。原作は1978年に出版された裁判小説ですよね、今回の脚本を読んでいかがでしたか?
2023.08.12(土)
文=赤山恭子
撮影=釜谷洋史
ヘアメイク=石田絵里子
スタイリスト=中川原寛(CaNN)