タレントの福田 萌さんが夫であるオリエンタルラジオ・中田敦彦との夫婦生活について綴った初のエッセイ集『「中田敦彦の妻」になってわかった、自分らしい生き方』を発売した。
結婚、出産後のワンオペ生活、『PERFECT HUMAN』の大ヒットからYouTuberへの転身、そしてコロナ禍に突然始まったシンガポール移住……。「妻に合わせる気が全くない“ジェット機型走者”」の夫との激動の生活を文章に綴ることは、他でもない自分自身と向き合うことであり、自分らしい生き方を見つめ直すことでもあった――。
中田さんほどではないにしても!? 自分の理解を超えたコントロール不可能な夫との関係に悩んでいる人は少なくないはず。本書はそんな人に贈る、「タレント本」を超えた「大変な夫のトリセツ本」であり、女性が「妻」や「母親」という属性を超えて、自分らしく生きるためのヒントが詰まった一冊だ。
彼の言葉は強いけど、嘘がないから信用できる
――芸能人夫婦の生活を描いたエッセイというと、キラキラしたものを想像しがちですが、この本は中田さんに関して「相性が悪いかも」「絶対に理解できない」と感じたことも、包み隠さず書かれていて。福田さんのような人でも、こんなことでケンカしたり、悩んでるんだ! と励まされました(笑)。
全然キラキラしてませんよね(笑)。私自身、FRaUwebで連載の話をいただいた当時、「妻」とか「お母さん」という肩書きだけで、自分が主にない状態で悩んでたんです。なので、その話を最初に書いたら予想外の反響をいただいて。夫婦や育児の話など、その時々で気になることを書きながら、自分自身を模索していった感じでした。
――途中でシンガポールに移住することになったり、激動の日々の中で文章を書くことは大変ではありませんでしたか?
自分の時間が少ないからこそ、今日はこれで書くぞ! と決めて、1日でガーッと書いちゃう感じでした。で、書き上げたらスッキリしたーって。だから、カウンセリングとかセラピーに近いものもあったかもしれません。
――本の帯には中田さんの「どうやら僕は発する言葉が人より強いようです。だけど彼女は、『あなたの言っていることはおかしい』と僕の意見を押し返してきた」という言葉があります。好きだからといって相手を全面的に受け入れるわけではない。むしろ、おかしいと言ってしまえる関係性がおもしろいです。
彼のことは付き合う前から、それこそテレビで拝見していた頃から、なんて言葉が強い人なんだと思ってたんです(笑)。でも、その一方で、テレビ番組で相方の藤森さんとの関係について、仲が悪かった時期があって、それについて反省する気持ちを語ってらして。なんて素直な人なんだろうと思って。芸能の仕事をしていると、そういうことって綺麗にラッピングして届けるものなのに、この人はゴツゴツした岩のままテレビで曝け出しちゃう。そこが信頼できるなって。だから、今も彼が発する強い言葉にウッとくることもあるんですけど(笑)、そこに嘘がないから信用できるなと思いました。
――とはいえ、芸人さんはプライベートもネタのうちみたいな風潮もまだまだあるだけに、奥さんとしては大変そうです。ましてや、相手は中田さん!
結婚したときに、自分の中でひとつ覚悟を決めたことがあって。これからはガラス張りの部屋で住んでいると思おうと。いつドッキリのカメラが入っててもいいぐらいの覚悟がないと芸人さんの奥さんは務まらないと思ったんです。
2023.07.22(土)
文=井口啓子
撮影=三宅史郎
スタイリスト=大瀧彩乃
ヘアメイク=田中裕子