“好きなこと”と“好き”を語る人が好き

――蓮華さんご自身も、好きなものについて話すことが多いと思いますが、話す時に意識していることはありますか?

石山 楽しく話すことです。私は今でこそ電線(※2)についてたくさん話していますが、本来は積極的に話すタイプではありませんでした。やっぱり電線の魅力を伝えるのは難しいんですよ(笑)。

 話しても相手がピンときにくいため、自分が感じていることをどのようにして人に渡せばいいか、考え続けてきました。そんななか、やおい・ボーイズラブ・同人誌研究家の金田淳子さん(※愛称「カネジュン」)が「アフター6ジャンクション」でその魅力を熱く語っているのを聞いて、人が楽しそうに話しているのを聞くと、知らなかったことも楽しく思えることに気づいたんです。カネジュンさんの話を聞いたのは大きな発見に繋がりました。

――まさにラジオがきっかけですね。

石山 私自身、好きなものについて話している人のことが大好きなんです。ほかに、宇多丸さんのお話を聴きながら、話すスピードやテンポの良さについて考えました。自分なりの答えが出たわけではないのでまだ模索中です。

※2 石山さんは電線愛好家として知られ、日本電線工業会公認・電線アンバサダーでもある。

――好きなものの話をして相手に楽しんでもらうは奥が深いですね。ラジオといえば、蓮華さんは以前飯塚さんの代打としても出演したよゐこの有野さんも出ているラジオ番組「オレたちゴチャ・まぜ! 〜集まれヤンヤン」(MBSラジオ)には、2017年の4月から1年間出演していて、その時はたくさんの女性の出演者のなかで、なかなか自分の魅力を出せなかったそうですが、振り返ってみていかがですか?

石山 今思えば、どのようにすれば自分が出せるのかを考え続けた1年でした。私以外の女性の出演者は「ミスコン出身」「天然」「話すと口が立つ」といったウリがあったんですけど、私は口は立たないし、アイドルでもありません。

 ある方に「◯◯ちゃんのように、もう少し華を出してみたら?」とアドバイスをもらったこともあったんですけど、他の人に似せてもしょうがないと思っていましたし、人とは違うところがあると前向きに考えていました。ただし、電線に関してはストレートに話しても興味をもってもらえないので、ラッピングをしたほうがいいことは分かりました。

――色々な経験を経て「こねくと」のメインパーソナリティに選ばれたわけですが、番組がきっかけでハマるものが増えそうですね。

石山 毎日思いも寄らないところから興味深いものが飛び込んできます。

 今まで、お笑いライブにあまり足を運んだことがなかったんですけど、最近、東京03さん、空気階段さんのライブに行きました。1週間にふたつのお笑いライブに行ったんです。今までかなり狭い視野で生きてきたのでこれから広げていきたいと思っています。

 一度ハマると掘るタイプなので、この先、何を掘っていくのか自分でも楽しみです。「こねくと」は聴いて楽しくなる種をたくさん蒔いています。飛んでくるものをキャッチしても面白いし、キャッチしきれなくても感触は残ると思います。みなさんの心にくっついた種がひとつでも発芽するといいなと思います!

石山蓮華(いしやまれんげ)

俳優、文筆家、電線愛好家。1992年、埼玉県生まれ。著書に『電線の恋人』(平凡社)など。2023年4月からは、11年続いた「赤江珠緒たまむすび」の後番組として始まった「こねくと」のメインパーソナリティとなり、ますます活躍の場を広げている。電線一色のinstagramは@renge_ge

TBSラジオ『こねくと』

毎週月曜~木曜 13:00~15:30

「connect」をキーワードに誰かの「教えて?」と誰かの「知ってる!」をつなげる。PodcastやYouTubeを使った配信や、LINEオープンチャットでメッセージを送れるなど新しいラジオの形を提案する取り組みにも積極的。
https://www.tbsradio.jp/cnt/
YouTubeチャンネル @connect-905

やきそばかおる

山口県出身。ラジオコラムニスト・インタビュアー・ライター。新聞、ラジオ、雑誌、webで全国のラジオ番組を紹介。取材、インタビューを積極的に行っている。『やきそばかおるのラジオコンシェルジュ』(渋谷のラジオ 金曜21:30~)では毎週、各地のパーソナリティーをゲストに楽しくトーク。元ハガキ職人で、学生時代はハガキ、FAXで多い時には月に330枚を投稿していた。

2023.06.13(火)
文=やきそばかおる
ヘアメイク=白銀一太(TENT MANAGEMENT)
撮影=榎本麻美