苦難は、人を深める材料
禅語「鳥啼山更幽」
「鳥啼山更幽」は、深山で鳥がひと声鳴いて飛び去った後、深い静寂感に包まれる情景を表した言葉です。静かに消えていく鳥の声は、深山の静寂を一層引き立てる。私たちの人生も同じこと。何も起こらない平穏な日々の中、その静けさを打ち破る「何か」が起こることで、元の静けさがより深く感じられるようになる。まるで人生の苦難を表しているようです。静かな毎日はありがたいものですが、深みのある人間に成長するためには、ときに困難や悲しみを経験することも必要なのかもしれません。野球の試合で大失敗をしたチャーリー・ブラウンは、人生には苦い薬を飲まなくちゃいけないときもある、とアドバイスを受けます。苦難を乗り越えることで、物事の大局を見られるようになるなど、人は成長するものです。また、苦難があることで、平穏な日常への愛おしさも増すことでしょう。嫌なことや辛いことがあっても、受け入れて前向きに生きていきたいものです。
2023.06.02(金)
著者=チャールズ・M・シュルツ
監修=枡野 俊明
翻訳=谷川 俊太郎