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文字だけでは、伝わらないことがある

禅語「不立文字(ふりゅうもんじ)

「不立文字」とは、本当に伝えたいことは決して文字では表せず、教えるべきものほど言葉の外にあるという禅の基本を表す言葉です。根本的な概念として、悟りは文字や言語で伝えられるものではなく、心から心への伝達、体験を通して感じたことによって伝えられる。そのことこそ真髄であるという考え方があります。教える側がすべて教えるというものではなく、教わる側の受け止め方も大切とされており、体験をすることで自分で見つけ出すことができたときにしか「真の教え」は伝わらないという考え方です。また、いい教え方というのは、受け取る側が想像できる「余白」を残しておくことでもあります。何かを得ようと読書に集中するルーシー。その姿を見てスヌーピーは、ルーシーの頰に口づけをします。本がすべてじゃないよ! と。スキンシップという体験を通し、ルーシーが受けた刺激が、コミックでは表情に表れているようです。

2023.06.02(金)
著者=チャールズ・M・シュルツ
監修=枡野 俊明
翻訳=谷川 俊太郎