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ロケ地・ヒニョウル文化村で映画のシーンに想いを馳せる

 ソン・ガンホ主演の『弁護人』をはじめ、多数の映画のロケ地となっている白瀬(ヒニョウル)文化村を歩く。

 太陽が地平線まで波の上部を白く照らし、陽の当たっていない群青の海とのコントラストが美しい。

 おかっぱは忙しくシャッターを切っている。

 満開の椿にレンズを向けるおかっぱの後ろ姿を見て、とある映画の1シーンが浮かぶ。キム・ユンソク主演『暗数殺人』のロケもこの場所で行われていた。チュ・ジフン演じるテオと姉が高校時代に住んでいた家にも椿があった。そのシーンは夏で花はなく、葉が丸く幹を囲っているだけだったけれど、低木が妙に印象に残っていた。

 椿の花言葉には“控えめな優しさ”のほかに“罪を犯す女”というものもあるそうだ。映画の中ではテオの犯した罪を、見て見ぬふりをした姉のセリフが続いていた。こうしたロケ地では映画と現実を行ったり来たりしながら歩くのも楽しい。

 緩やかな坂を登って海を見渡せるカフェ「GO SLOW」に到着。

 コーヒーを飲みながらおかっぱの撮影した写真を見せてもらう。

「高校生かな。男の子だけの団体6人くらいで写真を撮りっこしてるの、かわいいな」

 家族でこの散歩道に来てお父さん、お母さん、お兄ちゃん、弟と順番にスマホを持ち替え、自分以外の家族を撮影しているファミリーもいたという。

「私が撮りますよって声をかければよかった」

 レンズを向けたり向けなかったりしている時間に、おかっぱが見ているものがとても愛おしくなった。

【影島】
GO SLOW(ゴースロー/카페 고 슬로우)

所在地 釜山広域市影島区チョリョン路246-24(부산광역시 영도구 절영로 246-24)
電話番号 なし
営業時間 11:00~19:00

おかっぱとボブ

いつもおかっぱの撮影担当・衛藤キヨコと時々ボブの文章担当・小池花恵。相棒ふたりであちこち旅に出て、時々noteを更新中。

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おかっぱとボブ スピンオフ
2泊3日で巡る、港町釜山トリップ

2023.06.05(月)
Photographs=Kiyoko Eto
Text & Coordination=Hanae Koike

CREA 2023年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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