親に幸せになってもらいたいのに
問題:親のせいで罪悪感に駆られているときに、どうして落ち着いて観察などできよう。
対処法:ゆっくりと呼吸し心を落ち着ける。罪悪感を覚えても、あわてないこと。状況を静かに観察し、それを心のうちで具体的な言葉で表現する。知的に表現することで、感情的になっていた脳を、客観的で論理的に働かせていくことができる。
問題:親のことがとても心配だ。いつもなにかしらに不満を抱いている。もっと幸せになってもらいたいのに。
対処法:あきらめよう。親が不満を抱いているのは、必ずしももっと幸せになることが目標ではないからだ。それはあくまでも子どもの勝手な解釈だと気づいてほしい。
親のヒーリング・ファンタジーや役割としての自己は、子どもに多大な犠牲をしいることがある。不満もたまってくるだろう。自分の人生をあきらめてまで、親の問題を背負ってやるのは子どものすることではない。そんなことをしたところで、おそらく親はますます気難しく、不機嫌になるだけだ。
――Cさんのケース(その後)
母親からのかたくなな黙殺に耐えて数カ月、Cさんは母親の様子を観察してみることにした。
自分の息子のサッカーの試合観戦に両親を招いたのだ。試合が終わるまでなら、落ち着いていられるし、感情をコントロールできそうだと思ったからだ。彼女の望む結果は、ごくふつうに両親のもとを訪ね、以前のようにつき合いたいということだけ。
Cさんは淡々とした観察モードに徹した。楽しそうにやりとりはしたが、母親から温かな言葉をかけてもらうことは期待しなかった。両親はいつもどおり遅れてきたが、Cさんはおだやかにあいさつをした。「来てくれてありがとう」
2023.05.31(水)
著者=リンジー・C・ギブソン
監修=岡田尊司
翻訳=岩田佳代子
イラスト=有栖