この記事の連載
- 親といるとなぜか苦しい【前篇】
- 親といるとなぜか苦しい【後篇】
家族となかよくしようとするだけで、傷ついたり無力感にさいなまれ、親との関係に悩む人は多い。本当の自分を大切にし、親の影響下から抜け出して人生を歩むにはどうすればよいのだろうか。
親とより対等で成熟した新しい関係を作っていくための実践的なステップを、臨床心理士のリンジー・C・ギブソンが綴った、『親といるとなぜか苦しい 「親という呪い」から自由になる方法』より、一部を抜粋して紹介する。(全2回の1回目。後編を読む)
親は「できた人間」ではない
子どもにとって「親も過ちをおかす」と考えるのはむずかしい。思春期を迎え、成人して独立するころには、親は全能だという考えも揺らぎはするだろうが、完全になくなることはない。
多くの子どもが、次のような考えを植えつけられている。
・親ならばかならず自分の子どもに愛情を抱く
・親は信用できる
・親はいつでも子どものためにそばにいてくれる
・親にならなんでも話せる
・たとえ何があろうと親は子どもを愛し続ける
・子どもにはいつでも帰れる場所がある
・親が望むのは子どもにとっていちばんいいことだけ
・親は、子どもよりも子どものことをよくわかっている
・親の行動はすべて、子どものためを思ってのもの
だが、精神的に未熟な親の場合、これらはまず当てはまらない。
「いつか親は変わってくれる」という幻想
親がいつかは気持ちを入れ替えて、自分に関心を示し、愛してくれる──精神的に未熟な親に育てられた子どもによくみられる幻想だ。
だが残念ながら自分のことしか考えない親は、親の役割を果たしてほしいという子どものヒーリング・ファンタジーをことごとく拒む。
むしろ自分のヒーリング・ファンタジーで頭がいっぱいで、子どものころに負った傷の埋め合わせを自分の子どもにしてもらいたいと思っている。
2023.05.31(水)
著者=リンジー・C・ギブソン
監修=岡田尊司
翻訳=岩田佳代子
イラスト=有栖