作家を志すことになったきっかけは、十九歳のときに村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読んだことだと言う。
「その瞬間、まさに小説の面白さに目覚めました。それから八年くらい投稿を続けて、ようやくデビューできた感じです。郡山の観光課の方にも読んでいただけて、震災の当事者として抱いた思いなどが書かれた感想文を頂戴しました。また台湾の方がSNSに感想を書いてくれていて、海外でも受け入れてもらえたんだと、とても嬉しく思いました」
 四季さんは本作で第十六回小学館ライトノベル大賞〈大賞〉を受賞したが、その後『ミリは猫の瞳のなかに住んでいる』で第二十九回電撃小説大賞〈金賞〉も受賞している。過去を見ることができる男の子と、未来を見ることのできる女の子が連続殺人事件の解決を目指すSFミステリで、三月に電撃文庫より発売予定だという。
「好きな小説をひとつ挙げるとしたら山田風太郎の『妖異金瓶梅』ですね。山田風太郎の、何でもありで徹底的に面白さを追求しているところが好きで。私もたくさんの人に読まれる、とにかく面白いものを書いていきたいです」

撮影:深野未季


◆プロフィール
四季大雅(しき・たいが)
福島県郡山市出身。二〇二二年に『わたしはあなたの涙になりたい』で第十六回小学館ライトノベル大賞〈大賞〉、『ミリは猫の瞳のなかに住んでいる』で第二十九回電撃小説大賞〈金賞〉を受賞。

 
 

2023.03.27(月)