今後の展開はまだ、迷っているところです。ヒナコは独立するのか、あるいは事務所に後輩が入ってきて、ヒナコが指導する立場になるのか……。

特に女性は20代と30代で働き方が変わることが多いので、悩みどころではありますが、長く皆さんに楽しんでいただけるシリーズになれば、と思っています。

水生さんセレクト! 各巻の必読作品は……

『ひよっこ社労士のヒナコ』→「五度目の春のヒヨコ」

作品紹介:記念すべき「ヒナコ」シリーズ第1作。クライアント先の従業員の退職を巡る騒動に巻き込まれたヒナコ。不当解雇か、逆ギレ自主退職か……!? 会社と社員との間で食い違う証言の裏にある意外な真相とは。

水生:ミステリ的な仕掛けにこだわった一作です。真相と、その裏で動いていたキャラクターにもご注目ください。

『きみの正義は』→「わたしのための本を」

作品紹介:カフェチェーンの子会社となった書店で、残業未払い問題が発生? 書店を訪れたヒナコの眼の前で万引きが発生し……。

水生:万引きの裏にあったものというミステリ部分と、大手チェーン傘下となって苦労する店主たちの店への想いをあわせて書けた作品です。

『希望のカケラ』→「副業はユーチューバー」

作品紹介:リモートワークが進む文房具メーカー。ある社員が、就業中として申告している時間で、YouTube配信をしていたという告発文が送られてきた。副業としてのユーチューバー、ありか、なしか?

水生:コロナ禍で、働き方を模索する人々を描いた重めの話が多いのですが、そこに挟まれた清涼剤としての役割と、告発のゆくえのロジックにこだわりました。


水生大海(みずき・ひろみ)

 
 

三重県生まれ。2009年、島田荘司氏選考の第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作を受賞した『少女たちの羅針盤』でデビュー。14年「五度目の春のヒヨコ」が第67回日本推理作家協会賞短編部門の候補に(『ひよっこ社労士のヒナコ』所収)。20年『ランチ探偵』『ランチ探偵 容疑者のレシピ』が「ランチ合コン探偵 ~恋とグルメと謎解きと~」のタイトルでTVドラマ化。「社労士のヒナコ」シリーズ、『冷たい手』など著書多数。

2023.02.03(金)