水生大海さんの人気シリーズ「社労士のヒナコ」の最新刊『希望のカケラ』がいよいよ刊行されました。社会保険労務士を主人公にした、労務問題×ミステリーという組み合わせが支持を受け、ますます読者の共感を呼んでいるシリーズです。
1巻目の『ひよっこ社労士のヒナコ』では、タイトル通り新米の社労士としてスタートしたヒナコこと朝倉雛子もまもなく30歳。「ヒヨコちゃん」と呼ばれていた時から、まる3年が過ぎました。
今作では2020年からはじまったコロナ禍で、持続化助成金の申請手続きや、リモートワーク中の副業など、「労働」の在り方の変化にも焦点が当てられ、ますます読み応えのあるシリーズになっている「社労士のヒナコ」。
水生さんにシリーズについて、お伺いしました。
誰でも直面しうる労働問題の“ヒーロー”社労士
ヒナコのシリーズは、もともとお仕事小説のアンソロジーで、各作家がそれぞれ違う職業の人を書くというところからスタートしました。
社労士を主人公に選んだのは、他の作家の方と被らなそうということと、自分自身、馴染みのある職業だったからです。
実は、わたしも、ヒナコのように派遣社員として働いていた時に、総務の仕事をしていたので、社労士の人と関わる機会も多かったんです。同じ派遣社員の中に、社労士の資格を持っている人もいました。
社労士が扱う労働問題というのは、会社で働く人であれば、だれでも直面しうる問題です。雇用主である会社側と、労働者である従業員との行き違いでトラブルが起こったときに、それを解消する役割を担うのが社労士だと思います。
社労士は、基本的には、会社側の立場で仕事を遂行するのですが、読者は従業員としての立場にある方が多いですよね。なので、ヒナコはその双方の気持ちを汲みつつ仕事をするヒーロー的なキャラクターになったと思います。
「社労士のヒナコ」シリーズの物語を考えるときは、まず、どういう労働問題を扱うか、というテーマから始めます。そこからざっくりとした物語を考えて、それにふさわしいキャラクターを配置する、という順番です。
キャラクターは個性的にしたいので、各話の相談者は多少オーバーなところもあったりしますね(笑)。
2023.02.03(金)