一流ホテルの風格漂う給仕は素晴らしい! の一言
「アラカルトを少しずつ」なんて、職業病でつい、予約時にワガママなお願いをしてしまったわけですが、嫌な顔をせずに素早くお料理を出してくださったサービスは素晴らしい! の一言。サービスの方々は都内の一流ホテル出身の方が多いそうで、オープンして間もないながらも「安定」「安心」の貫禄が漂います。
以下は、看板料理の品々です。
前菜「季節の野菜のエチュベ、トリュフの香り」。こちらは野菜自身の水分だけで野菜を蒸し煮にしたもの。それぞれの野菜の歯ごたえやみずみずしさ、甘みが生きていて、食せば体の細胞が喜ぶ美味しさです。トリュフの香りと野菜の香りの共存具合も絶妙です。
「オマールとグリーンピースのクリーム」は、スプーンで一口すくうとオマール海老の旨味とグリーンピースのクリームの甘み、キャビアの塩気が広がる……ゼイタク~な味わい。美味しさに微笑みを禁じることができません。
「カニとトマトのシャルロット仕立て、オマールのビスク」(写真前ページ)は、見た目も美しく可憐な前菜。カニのほのかな甘みとトマトの酸味、オマールの濃厚な旨味……。これを味わったら、どんなに女子トークが白熱していたとしても、一時中断して顔を見合わせることでしょう。
魚料理「スズキとピスタチオ、キヌアのリゾット」は、クリームソースが淡白なスズキの味わいを引き立て、キヌアのリゾットのプチプチした食感が楽しい一品です。キヌアは食物繊維や必須アミノ酸が豊富な南米産の完全食品。体の中からキレイになれそうです。
肉料理2品は丁寧にとったソースが印象的で、無言になる美味しさ。どちらにもじゃがいものピュレと季節の野菜のエチュベが別皿で添えられます。じゃがいものピュレとともに味わうと、なんともやさしい味わい。
「牛テールの煮込み」は、1日かけてじっくりと牛テールを煮込む間に灰汁や脂分を丁寧に取り除いていくので、見た目のこってり感よりむしろすっきりした味わいです。「ミレニアムカップ」と呼んでいるのは、2000年のTV番組「料理の鉄人」で、審査員の方たちから「最高の一皿」としてミレニアムカップをいただいたから。ふとしたきっかけで思い出し、軽い気持ちでメニューに載せてみたところ、意外な人気でシェフ自身も驚いているとか。
ブイヨンで煮込んだ豚脚を細切れにし、フォアグラ、セロリやタマネギなどの野菜を混ぜ合わせて丸く成形して、ブリオッシュのパン粉をつけて焼いた「フォアグラとピエ・ド・コションのガレット仕立て」は、シェフが子どもの頃に食べていた家庭料理をアレンジしたものだそうで、どうりで懐かしい味わいです。
以上、アミューズとデザートも含め、7品食べて2時間。お料理の美味しさはもちろんのこと、さりげない目配り、気配りの素早いサービスを受け、心地良く時間が過ぎていきました。
いやはや、高級店のサービスって、いいですね。おしゃれして出かけた銀座で、美食に酔いしれつつ、レディとして恭しく扱われる歓び……。こんな“一流尽くし”のランチ女子会は、自分も、お友達も、淑女として伸びたい時に有効かと思います。
RESTAURANT DOMINIQUE BOUCHET
(レストラン ドミニク・ブシェ)
住所 東京都中央区銀座5-9-15 銀座清月堂ビル 地下1階、地下2階
電話番号 03-5537-3290
営業時間 地下1階 カフェ11:30~22:00(17:00~シャンパーニュタイム※)、地下2階 レストラン11:30~14:00、17:30~21:00
定休日 日曜日、月曜日
メニュー ランチ(B1F)¥3500~、(B2F)¥5500~、ディナー(B2F)¥10000~
※地下1階カフェでは17:00より「シャンパーニュと5種類のタパス」(¥2900)を提供
URL www.dominique-bouchet.com/tokyo
小松めぐみ (こまつ めぐみ)
東京都生まれ。食い道楽の親の影響で、10代半ばにして料理に目覚める。大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスに。2000年に独立し、主に雑誌で飲食関連の記事を編集している。
Column
小松めぐみの“キレイになれる”レストラン
食べてキレイになれる一皿、見て美意識が刺激される一皿や、そこに行くためにはキレイにしなきゃと思えるレストラン。キレイのモチベーションを高めるお店や料理を、フードライター歴13年の著者がご紹介。
2013.11.05(火)