この記事の連載
凪良ゆうさん[作家]
Q1:最愛の一作
『ダリアの帯』(大島弓子/白泉社文庫)
優しさ、哀しさ、おかしみ、死生観、すべてが混沌と溶け合っている。初めて読んだときから、この物語が「なに」であるか考えているけれど、まだ答えが出ません。大島弓子さんの物語を読むたび、自分が生きている世界がとんでもなく豊かで恐ろしく美しいものであることを教えてもらえる。
Q2:マンガを読むスタイルは?
眠る前や休憩時間に自宅で読みます。昔から追っている長編作品は形式を揃えるため紙で買いますが、それ以外は電子書籍になりました。
Q3:夜ふかしマンガ大賞に推薦した作品とその理由
『眠れぬ夜はケーキを焼いて』(午後/KADOKAWA)
ジャンルとしてはレシピ本。その楽しみ方ももちろんできる上に、語られる午後さんの思考にとても惹かれます。敬愛する大島弓子さんのマンガを彷彿とさせるような、どこか哲学的な、けれど心地よい深さ。通常のレシピ本にはないアンニュイさが全編通して漂っているのもとても素敵です。タイトル通り、眠れぬ夜に読みたい本。第8回料理レシピ本大賞コミック賞受賞作。
『女の園の星』(和山やま/祥伝社)
和山やまさんの作風は癖になる。けっして盛り上げすぎず、平熱のおもしろさを持続させるという物語として至難の業が軽やかに展開されているのがすごい。
凪良ゆう(なぎら・ゆう)
作家
2006年にBL作品にてデビュー。代表作にドラマ化された「美しい彼」シリーズなど。一般文芸における初単行本『流浪の月』(東京創元社)で2020年本屋大賞を受賞。
凪良ゆうさん最新作
『汝、星のごとく』
約2年ぶりの長編作。瀬戸内を舞台に、複雑な家庭環境にある高校生の暁海と櫂が惹かれ合いながらも、すれ違い、そして成長していく物語。生きることの自由さと不自由さ。まともな人間なんてものは幻想なのかもしれない。講談社 1,760円
2022.12.14(水)
Text=Ritsuko Oshima(Giraffe)