この記事の連載
- 前田公輝インタビュー 前篇
- 前田公輝インタビュー 後篇
「豆腐屋のニーニーだね!」の声がかかる喜び
――まもなく最終回を迎える「ちむどんどん」、振り返っていかがですか?
初めての朝ドラなので、最初はリズムを掴めなかったし、リハですら喉から心臓が出るぐらい緊張していました。朝ドラはスケジュールがきっちり決まっていて、月曜日にリハがあって、火曜日から撮影をするんです。リハではホン読み、立ち稽古、それから1シーン10分ぐらいでどんどん進んで1週間分をやるんです。
――リハから緊張していたとは、意外です。
そのスタジオ自体、僕が『天才テレビくん』のときにイベント稽古していた場所だったんですよ。そこに戻れている自分を感じた瞬間、プレッシャーになっちゃって……。そのときの自分を思い浮かべながら、「ちゃんと立派な役者になれてるか?」と問いただしてしまいました。
――前田さんご自身が撮影の中で変わっていったように、演じた智も様々な出来事が起こり、変わっていきましたよね。どこかリンクするようなところもありましたか?
そうですね。智は『ちむどんどん』の中で一番成長して変わっていった存在じゃないかなと思います。智は暢子(黒島結菜)に振られてから、どんどん成長していきますが、僕自身も智に追い抜かれないように、自分自身も更新していかないといけない、という思いがすごくありました。智の成長と同時に、僕も朝ドラという舞台に立たせてもらって、自分自身も成長しているように感じています。
――出演したことで「声をかけられるようになった」などの変化もありますか?
別の現場でも朝ドラを観てくださっている方々が本当に多くて、影響力の大きさを感じています。「朝ドラ観てるよ!」とか「プロポーズのシーン良かったよ」とか言っていただけることが、本当にうれしいです。
あと、顔合わせのときに「前田公輝です、よろしくお願いいたします」と言ったら、今までは、例えば「ライダーやってたの?」とか「戦隊やってたの?」とか「グランプリ獲ってるの?」みたいなことを言われていたんです。けど……僕、何もないんですよ(苦笑)。けれど、今は自己紹介をすると「豆腐屋のニーニーだね!」、「智ニーニー」と言ってくださるので、それもすごく嬉しくて。大役をいただいたんだなと改めて感じています。
――今、前田さんがお話されていて、そういえば肩書のようなものとは別次元で戦ってこられた方なんだと再認識しました。
そうなんです。自分の中では転機になった作品や役、ルーツなどももちろんあるんですけど、いわゆる世間的な“何か”はなかったので。大きな肩書き……いわゆるブランドみたいなものに、ちょっと嫉妬心があったときもありました。別にそればかりじゃないとは思うんですけど、本当に最大の肩書きをいただけたと思っています。
前田公輝(まえだ・ごうき)
1991年4月3日生まれ、神奈川県出身。6歳から子役として活動をはじめる。2003~06年にNHK 教育『天才てれびくん MAX』にレギュラー出演。2019年、映画『HiGH&LOW THE WORST』の轟洋介役でヒット。NHK 連続テレビ小説『ちむどんどん』で、ヒロインの幼馴染・砂川智役を演じた。2022年9月9日(金)より『HiGH&LOW THE WORST X』が公開中。
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2022.09.22(木)
文=赤山恭子
撮影=深野未季
ヘアメイク=松田蓉子
スタイリスト=千葉 良(AVGVST)