この記事の連載
今、夜な夜なマンガに夢中になっている大人が急増中。ある電子書店のデータによれば、マンガ作品がよく読まれるのは22時以降、ピークは深夜0時だそう。※
眠りにつく前のひとときに、時代をあぶりだす社会派から大人の胸キュン、コッソリ読みたい一冊まで……。日中のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる作品に、CREA秋号「マンガ」特集では「夜ふかしマンガ大賞」を贈りました。
「大賞」は、2021年7月から22年6月末までの1年間で単行本の新刊が発売された(ただし、合計5巻以内)、もしくは、雑誌などに最新話が発表された作品から、マンガ好きの35名の推薦者とCREA編集部員の投票により選出。今回は、惜しくもべスト10入りは果たせなかったものの、ノミネートされた8作品を推薦者の熱いコメントとともに紹介します。
22時から明け方まで、ページをめくる手が止まらない―!?
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» 「夜ふかしマンガ大賞」1位~4位はこちら
» 「夜ふかしマンガ大賞」5位~10位はこちら
CREA夜ふかしマンガ大賞とは…
マンガ好きの35名の推薦者とCREA編集部員の投票により選ばれた「思わず、夜ふかしして読みたくなる」そして、「今、CREA読者に本当におすすめしたい」作品に贈る賞。大賞は、2021年7月~22年6月末までに単行本の新刊が発売された(ただし、合計5巻以内)、もしくは、雑誌などに最新話が発表された作品から選出。各部門賞は、作品発表の時期や巻数に制限はありません。
◆『海が走るエンドロール』たらちねジョン
「価値観がビビッドで、今の気配にも満ちている」(小説家 深緑野分さん)
夫と死別し、数十年ぶりに映画館を訪れたうみ子。彼女はそこで、映像専攻の美大生に出会い、自分が「映画が撮りたい側」の人だと気付く。
「何歳になっても新しいことを始められるし、もしかしたらそれが自分の本当に持っている才能かもしれない。65歳を過ぎた主人公の、映画制作に魅せられていくきらめきや、若者たちと関わることによって変わっていく価値観がビビッド」(深緑さん)
『海が走るエンドロール』たらちねジョン
秋田書店 各660円 既刊3巻
深緑野分(ふかみどり・のわき)
小説家
2013年に短篇集『オーブランの少女』(東京創元社)でデビュー。『戦場のコックたち』(東京創元社)『ベルリンは晴れているか』(筑摩書房)は直木賞などの候補に。
◆『女の園の星』和山やま
「星先生と小林先生のコンビが好きすぎて永遠に読んでいたい」(作家 凪良ゆうさん)
「第24回 手塚治虫文化賞」短編賞など、数々の賞に輝いた作者が描く、ある女子校教師の日常。美麗な絵柄と独自の笑いが唯一無二の世界観を作り出している。
アニメ化も決定し、12月に待望の3巻が発売予定。
「和山やまさんの作風は癖になる。けっして盛り上げすぎず、平熱のおもしろさを持続させるという物語として至難の業が軽やかに展開されているのがすごい」(凪良さん)
『女の園の星』和山やま
祥伝社 各748円 既刊2巻
凪良ゆう(なぎら・ゆう)
作家
2006年にBL作品にてデビュー。代表作にドラマ化された「美しい彼」シリーズなど。一般文芸における初単行本『流浪の月』(東京創元社)で2020年本屋大賞を受賞。
2022.09.19(月)
Text=Kozue Aou
Photographs=Ichisei Hiramatsu