この記事の連載
今、夜な夜なマンガに夢中になっている大人が急増中。ある電子書店のデータによれば、マンガ作品がよく読まれるのは22時以降、ピークは深夜0時だそう。※
眠りにつく前のひとときに、時代をあぶりだす社会派から大人の胸キュン、コッソリ読みたい一冊まで……。日中のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる作品に、CREA秋号「マンガ」特集では「夜ふかしマンガ大賞」を贈りました。
今回は、オールタイムの名作から選ぶ11の部門賞のうち、ルッキズムや性の格差など、女性を取り巻く難題に切り込む意欲作を選んだ〈女の人生部門〉13作品を発表します。
22時から明け方まで、ページをめくる手が止まらない―!?
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» 「夜ふかしマンガ大賞」1位~4位はこちら
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CREA夜ふかしマンガ大賞とは…
マンガ好きの35名の推薦者とCREA編集部員の投票により選ばれた「思わず、夜ふかしして読みたくなる」そして、「今、CREA読者に本当におすすめしたい」作品に贈る賞。大賞は、2021年7月~22年6月末までに単行本の新刊が発売された(ただし、合計5巻以内)、もしくは、雑誌などに最新話が発表された作品から選出。各部門賞は、作品発表の時期や巻数に制限はありません。
女性を取り巻く難題に切り込む意欲作
政治や企業などの重要な意思決定の場に男女格差が表れやすい日本。女性の声が反映されにくいことは生きづらさに直結しますが、それを照射した頼もしいマンガが次々に生まれています。
注目は創作と性加害を描いた渡辺ペコさんの『恋じゃねえから』。被害者だった友人と傍観者だった主人公の“その後の痛み”に苦しくなりますが、覚悟を決めた彼女たちの行動が心地いい緊張感を生み、ページを繰る手が止まりません。
やまじえびねさんの『女の子がいる場所は』は、国も文化も宗教も違う世界各地の少女が、女の子だからというだけで置かれている理不尽な状況を描いた作品。それでも彼女たちの心に灯る勇気に、シャンとこちらの背筋も伸びます。
ルッキズムが引き起こす社会的障壁を一方向からではなく、複数の視点から描いたとあるアラ子さんの『ブスなんて言わないで』も、いま読んでおきたい一冊。外見が題材の作品として、10代の心ざわめかせる状況を丁寧に掬い上げ、かつエンタメとしてのドライブ感も失わず未来に繋げたもぐこんさんの『推しの肌が荒れた』も初作品集とは思えない充実ぶりです。
ここに挙げた作品は、「〇〇だからこうすべき」といった社会の圧に屈さず、自分の感情を大切にする勇気をくれます。また、女性があらゆる場面で感じる痛みが丁寧に言語化されているので、胸のモヤモヤが晴れ、今まで以上に視界も開けることでしょう。(山脇さん)
◆『女の子がいる場所は』やまじえびね
世界の女の子の未来に想いを馳せる
サウジアラビアで、インドで、アフガニスタンで。生まれついた性別が女の子だったというだけの理由で、教育や自由な結婚を諦めなければならない10歳の女の子たち。理不尽な仕打ちを受けても自分で考え、前を向く姿が胸に迫る。
『女の子がいる場所は』やまじえびね
KADOKAWA 814円 全1巻
◆『教室の片隅で青春がはじまる』谷口菜津子
特別って何? 普通女子の心模様
みんなに一目置かれたいのに冴えない子、SNSで理想の女子高生を演じる子、オタク活動を学校ではひた隠しにする子……窮屈な教室で生きる女の子たち。世界のピントが少しずつ像を結びだす展開に胸がアツくなる。
『教室の片隅で青春がはじまる』谷口菜津子
KADOKAWA 924円 全1巻
2022.10.15(土)
Text=Mao Yamawaki