「自ら選び取る」きっかけに舞台を選んでみてほしい

――天海さんも宝塚時代は積極的に先輩方に声をかけていたのですか?

 やりましたよ。「この人はどう演じているんだろう?」と思って、そのシーンを見るために急いで着替えて舞台の袖から見ていたし、「この人はあの時どんなことを考えていたんだろう」と思ったらそのお話を聞きに行きたいじゃない?

 宝塚の上級生の方たちも「聞いてくれたら教えてあげる」という思いがある方たちばかりだったので、聞きに行ったらそれ以上のことを教えてくださいました。

――「先輩に聞くのは恥ずかしい」とか「自分から動いて傷つきたくない」と躊躇せずに、その出会いを逃さず、自分から掴みに行くことが大事ですね。

 自分から躊躇して行かないのはものすごく損! 私も上の人たちに混ざってお芝居をする経験をしてきているから「質問したら嫌がられるんじゃないかな」って思う気持ちも、もちろん分かる。先輩に嫌な顔をされたら、それはしょうがない(笑)。何も聞かずに成長しないより良いかって思えばいいの。

――積極的に自分から動くことも天海さんのバイタリティの秘訣なんですね。

 最近思ったのは、今ってほとんどの用事が手元で事足りてしまうでしょう。スマホひとつで調べることも誰かに連絡を取ることも、買い物だって出来ちゃう。以前は、何かを調べたかったら図書館に行ったり誰かに話を聞いたり。家にいたらなんにも寄ってこないから自分から動いたけど、今はスマホを見たまま動かずに「待つ」人が、特に若い世代の方たちに多いような気がするんです。

 思慮深くて、冷静に物事を判断するうえではとても素晴らしいと思うし、時代によっていろんな方法があるけど、でも、そこからちょっとでも自分から動くことを覚えると、「違う世界が見られるよ!」ということをお伝えしたいです。

――「受け身」でいるだけでは得られないことってたくさんありますよね。

 そういう経験をするのに、舞台はおすすめかも。「劇団新感線の舞台ってどんなだろう? 古田さんや天海祐希が出る、(石田)ニコルちゃんや神尾くんが出るから見てみたいな」と思って、チケットを申し込んで買うところから始まるじゃない。

 そうやって自分で足を運んだもので、大きな感激や喜び、楽しみを感じられたら素敵だと思うし、そうやって自ら掴んだものって自分の誇りにもなるから。

 もしまだ生のお芝居をご覧になったことがない方は、「薔薇サム 2」は最初のとっかかりにすごくいいお話だと思うので、ぜひ劇場にいらしていただけたら嬉しいです。待ってるよー!

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天海祐希(あまみ・ゆうき)

1967年8月8日生まれ、東京都出身。近年の出演作は、映画『老後の資金がありません!』やドラマ『緊急取調室』Season4など。また、2022年4月には、舞台COCOON PRODUCTION2022『広島ジャンゴ2022』に出演。2023年2月3日より映画『仕掛人・藤枝梅安』が公開予定。

『薔薇とサムライ2-海賊女王の帰還-』

作:中島かずき
作詞:森 雪之丞
音楽:岡崎 司
振付・ステージング:川崎悦子
演出:いのうえひでのり
出演:古田新太、天海祐希/石田ニコル、神尾楓珠/高田聖子、粟根まこと、森奈みはる、早乙女友貴、西垣 匠/生瀬勝久 ほか

2022年9月9日(金)~11日(日)
富山県 オーバード・ホール
9月22日(木)~25日(日)
新潟県 新潟県民会館 大ホール
10月5日(水)~20日(木)
大阪府 フェスティバルホール
2022年11月1日(火)~12月6日(火)
東京都 新橋演舞場
http://www.vi-shinkansen.co.jp/barasamu2/

2022.09.15(木)
文=根津香菜子
撮影=鈴木七絵
ヘアメイク=林 智子
スタイリスト=えなみ眞理子