2022年4~7月にCREA WEBで反響の大きかった記事ベスト7を発表します。ビューティー・ライフスタイル部門の第2位は、こちら! (初公開日 2022年5月25日)。


 アウトドア人気が高まるなか、注目を集めている焚き火。

 レジャーとして楽しむのももちろんいいけれど、もう一歩、焚き火の本質に踏み込んで、“北欧スタイル”の焚き火に挑戦してみませんか?

 北欧に住む先住民族から、直接教えを受けたアウトドアライフアドバイザーの寒川 一さんに、北欧流の焚き火のやり方を教えてもらいました。

» まずは焚き火の注意点&必要な道具をチェック!


地球にも自然にも優しい北欧スタイルの焚き火

 僕は仕事柄、北欧に行くことが多く、さまざまな地域の人たちと交流を深めながら、アウトドアの知恵や考え方を学んできました。

 その中で感じたのは、日本では焚き火はレジャーですが、北欧や諸外国ではライフスタイルに落とし込まれているということ。

 なかでも、北欧の北極圏に住む先住民族・サーミ人たちは、生きるための知恵として火を焚き、自然観も含めて、焚き火の本質を学ばせてもらいました。

 その中で特に印象的だったのが、「7世代先のことを考えて行動していく」という話。

 彼らは薬も食べ物もすべて「森にあり、足元にある」と言って、実際に自然の中からほとんどのものを得て暮らしています。

 そして、地球とか自分たちの土地は先祖から譲り受けたものではなく、7世代先の子孫から預かっているものだと。

 だから、返す時まで汚す訳にいかないので、おのずと今やるべきことが見えてくるというんです。これには目から鱗でしたね。

 焚き火に関しても、サーミ人たちは「燃やし切って灰にする」ということを作法としています。

 灰は主に炭酸カリウムなので木々を育てるエネルギーに変わりますが、炭は基本的に土中分解されないので、半永久的に残ってしまいます。

 日本では、炭になったらおしまいと思って片付けてしまう人も多いと思いますが、焚き火は灰にすることに大きな意味があるんです。

 燃やし切った灰が土に還り、木々を育て、ひいては地球の循環作業に貢献することになります。

 最近、僕らが焚き火をする大きな理由は、実はそこにあるんじゃないかと考えているほど、地球にも自然にも、そして人間にも必要なことなのです。

2022.08.17(水)
文=田辺千菊(Choki!)
撮影=深野未季