アウトドア人気が高まるなか、注目を集めている焚き火。キャンプなどでの実用的な使い方以外にも、炎と音に癒やしを求めて焚き火を楽しむ人も増えています。
今回はアウトドアライフアドバイザーの寒川 一さんに、焚き火の魅力と作法を教えてもらいました。
知っておきたい焚き火の基礎知識
Q.焚き火はどこですればいい?
都会に暮らしている場合、河原や海辺でも焚き火禁止のところが多いので、キャンプ場で楽しむのが一般的です。
基本的にどの施設も、地面に直接薪を置いて火を起こすことは禁止なので、焚き火台を使いますが、設置する地面のコンディションにも気を配りましょう。
まず、落ち葉が広がっている場所で焚き火を行うのはご法度。
焚き火台の上方に木がないことも重要です。少なくとも2メートル以上は離れていないと、引火の恐れがあるので注意しましょう。
また、自宅の庭で焚き火をすることは違法ではありませんが、ご近所への配慮が必要です。
焚き火は煙が出るので火事と間違われてしまったり、洗濯物ににおいがついてしまったりするなど、トラブルのもとになってしまうことも。
事前に焚き火をすることを伝えるなど、周囲の理解を得てから行いましょう。
Q.焚き火をする際に注意すべきことは?
焚き火を行うには、天候以上に「風」が重要です。安全に焚き火ができる目安は、葉っぱが揺れる程度の風まで。風速で言うと3メートルを超えたら、速やかに中止しましょう。
あとは、常に風上・風下を意識すること。煙や火の粉は風下に流れるので、どの位置から薪に火をつけるか、どこにチェアやテーブルを置くかということにも影響します。
また、風下に人がいるかどうかも確認して、風向きの変化にも対応できるようなセッティングを心がけましょう。
Q.最低限必要な道具は?
まず最初に揃えたいのは、焚き火台、火ばさみ、火吹き棒、植物由来の燃焼補助剤(白い包み)、ライター、グローブの6点。1つずつ説明していきます。
●焚き火台
この数年で焚き火道具は目覚ましい進化を遂げ、種類も増え続けています。特に焚き火台は構造もデザインもさまざまで、それぞれに優れた点がありますが、オールマイティーではありません。
まず自分のやりたい焚き火のシーンを考えてみましょう。
一人なのか仲間とするのか、地面に座るロースタイルか、椅子に座るハイスタイルか、調理をするかなど、具体的に考えていくと自分に適した焚き火台が導き出せます。
また、焚き火台の下には防燃シートを敷いて、環境にも配慮を。
中心のパンと外周部分からなる焚き火台は、直火に近い高さで安定感も抜群。外周部分に食材や調理器具なども置けます。
折り畳み式の焚き火台は、軽量かつコンパクトなので持ち運びに便利。アタッチメントにより調理機能も追加できます。
●火ばさみ
燃えている薪や炭を動かして火力をコントロールするのに必要な道具。ポイントは先端部で、重い薪をホールドでき、なおかつ薪の配置変えなど細やかな作業にも対応できる構造のものを選びましょう。なお、食材用のトングは別に用意すること。
●火吹き棒
火をおこしたり、薪を足したりした際の燃焼促進に便利。うちわであおぐよりもピンポイントで火元に空気を送り込むことができ、周囲に火の粉が飛び散らないので安全。
●着火用資材
市販の着火剤を使う場合、化学薬品不使用のナチュラルな着火剤や燃焼剤を選びましょう。家庭にあるものでは割り箸や牛乳パック、麻紐なども燃えやすく、よい資材になります。
●着火のための道具
手早く火をつけるなら、アウトドア用のライターやガストーチ、マッチが便利。
●グローブ
焚き火の熱や火の粉から手を守るほか、薪割りやナイフで作業する時など、なにかと役立ちます。耐久性、耐火性に優れた皮革製がおすすめで、適切なサイズのものを選びましょう。
2022.05.24(火)
文=田辺千菊(Choki!)
撮影=深野未季