マダム・クリコの発明をクリエイターが表現

 マダム・クリコは、その柔軟な発想力と妥協のない姿勢から、シャンパーニュ業界にとって革新的な3つの発明、ヴィンテージ・シャンパーニュ、ロゼ シャンパーニュ、動瓶台を生み出しました。会場では、3名のクリエイターが表現した作品とともにそれらの発明が紹介されています。

 今回作品を制作したクリエイターのひとりである漫画家の安野モヨコさんは、マダム・クリコについて「女性がひとりの力でブランドビジネスを営むことが困難であった時代に、マダム・クリコが発揮した優れた知性と勇気に心を打たれました」と語ります。

 安野さんのほかには、フランスのイラストレーターであるペネロープ・バジューさんとイタリアのイラストレーターであるオリンピア・ザニョーリさんが作品を描き下ろしています。

貴重な資料が盛りだくさん

 250年の歴史を振り返る資料を観られることも、この企画展の醍醐味のひとつ。19世紀の商標登録証や顧客宛の文書台帳の現物などが展示され、紙の経年変化や直筆の文字を見ながら当時の情景を思い浮かべてみると、さらに展示を楽しめます。

デザイナーやブランドとのコラボ作品も多数展示

 デザイナーやブランドなどとコラボレートした作品が多いのもヴーヴ・クリコの特徴のひとつ。会場には、デザイナーのトム・ディクソンやインテリア・プロダクトデザイナーのカリム・ラシッド、音楽レーベル・ファッションブランドのメゾン キツネなどとコラボレートした特別な作品がズラリ。ヴーヴ・クリコのあるカルチャーやライフスタイルの多様性を彷彿とさせる展示となっています。

2022.06.25(土)
文・写真=石川博也