少しだけ旅に気持ちが向くようになってきた今年の夏。せっかくなら、日常を忘れさせ、心を解放してくれるような、芸術作品に会いに出かけませんか。

 アートにも造詣が深いライターの中村美枝さんに、屋外の気持ちのよい空間で楽しめる、おすすめのアートスポットを紹介していただきました。

 後篇の今回は、今訪れたい、屋外展示作品が充実した3つの美術館をご紹介します!

» 【前篇】2022年夏に行きたい芸術祭3選


●「彫刻の森美術館」(神奈川県・箱根)

 まずは、首都圏からの日帰り旅にもぴったりな箱根。温泉地、観光地として有名ですが、アートスポットの充実も魅力のひとつです。

 なかでも、外遊びする感覚でアートな時間を過ごせるのが、1969年に誕生した国内初のオープンエアミュージアム「彫刻の森美術館」。7万平方メートルもの緑あふれる庭園には、ニキ・ド・サン・ファールの巨大な女性像「ミス・ブラック・パワー」をはじめ、ロダン、ヘンリー・ムーア、岡本太郎など、国内外の作家による約120点の野外彫刻を展示。豊かな自然、広がる青空も爽やかで、開放的な気分でアートが楽しめます。

 体験型アート作品のバリエーションも豊か。高さ18メートルの塔「幸せをよぶシンフォニー彫刻」へ入ると、全面にはめ込まれたステンドグラスが自然光を受けてキラキラと輝き、ファンタジックな世界に引き込まれていくよう。らせん階段を登り切ると、美術館全体と箱根の山々を一望する、すがすがしい風景が。

 色とりどりの手編みのネットをいくつもつなぎ合わせた巨大なハンモックが楽しげな「ネットの森」も人気の体験型作品。ネットの中で遊べるのは残念ながら小学生までですが、カラフルな色彩とユニークな造形は、見ているだけでも気分が上がります。

 2021年4月には、広い芝生斜面を利用した休憩エリア「ポケっと。」がオープン。色鮮やかな12色の正方形の枠がずらりと並ぶ松原成夫「宇宙的色彩空間」、イサム・ノグチの遊べる彫刻「オクテトラ」といった体験型アート作品のまわりに、さまざまな形のベッドやベンチをレイアウト。のんびりくつろいだり、遊んだり、思い思いに過ごせます。

 敷地内にはほかにも、室内展示のピカソ館や本館ギャラリー、天然温泉の足湯、カフェ&レストラン、オリジナルグッズがそろうミュージアムショップなども。1日かけてゆっくり遊べますよ。

彫刻の森美術館

所在地 神奈川県足柄下郡箱根町ニノ平1121
電話番号 0460-82-1161
開館時間 9:00~17:00 (最終入館16:30)
休館日 なし
観覧料 大人 1,600円
https://www.hakone-oam.or.jp/

2022.06.01(水)
文=中村美枝(JAM SESSION)