雪を見つめることで、自然と対話する豊かさ

 「雪は天から送られた手紙である。」

 この言葉は中谷が著書『雪』の中で記した一節から生まれている。その言葉通り、さまざまな形に姿を変える雪の結晶は、今、空がどんな状況かを体現して私たちのもとに訪れる。「天空高く、飛行機も気球も大凧も窺い得ない世界の気象状態を知ろうという欲望」(『雪』より)に突き動かされた中谷は雪の来歴に思いを馳せることで、自然、そして地球環境という私たちを取り巻く大きな環境へ思考を飛躍させていった。

 同じく「雪」の魅力に魅せられたフィッシャーも、より雪山と触れ合うために防寒着やスキーを進化させてきた。

 最新のシェル熱成型技術「フィッシャーバキューム」によるカスタムブーツは1日中履いても快適な履き心地を実現。ノルディックやアルペンのスキー板も中谷氏が研究をしていた頃とは雲泥の品質で、安全性も滑り心地もスピードも最先端のクオリティを実現している。

 スキー場へ赴き、パウダースノーの世界で雪山を満喫することは、地球からのメッセージとダイレクトに触れること。そんな豊かな体験へアプローチしてくれるフィッシャーと中谷氏が出会っていたら、そんな空想をしてみるのも一興だろう。

 「人には良くしてあげるんだよ」。中谷は自然のみならず、人との関係も大切にということも語っていた。自然と向き合うことが、世界への視野を広げ、ひいては人生を豊かにすることに繋がる。

 まだまだスキーシーズンは活況の中。春スキーもおすすめだ。一面の雪景色の中で大自然に思いを馳せてみる。そんな1日を過ごすのもいいかもしれない。

FISCHER(フィッシャー)

https://www.goldwin.co.jp/fischer/

中谷宇吉郎 雪の科学館

所在地 石川県加賀市潮津町イ106
https://yukinokagakukan.kagashi-ss.com/

2022.02.23(水)
文=CREA編集部
写真=前川祐介