廃校ピッツェリアで食す、ツチクジラのピザってどんな味?

 最後は、珍しいツチクジラのピッツァを紹介しよう。

 場所は、廃校を活用した「道の駅 保田小学校」の中の「Pizzeria Da Pe GONZO」。川崎からの移住者がオープンしたピザ店の2店目で、オープンから丸6年。鋸山でとれた房州石(金谷石)を使った薪窯でピザを手づくりしている。

 月替わりのピザは、「菜花」「鯵」「ゴーヤ」「地ダコ」「自然薯」など旬の食材を使用。クジラのピザは、当初月替わりメニューとして登場したものの、現在は定番メニューに格上げした。

 2019年には31年ぶりに商業捕鯨が再開され、ツチクジラが手に入りやすくなったそう。ツチクジラは関東唯一の沿岸捕鯨基地がある南房総市・和田漁港の外房捕鯨から仕入れしている。

 肉の筋の切り方や厚み、タレの味などおいしく食べられるよう研究を重ね、ベストな方法で仕上げたツチクジラ。赤ワイン、しょうゆ、タマネギ、にんにくのタレに漬け込み、ピザ生地の上にトッピング。そして、600度弱の窯で1分30秒焼いていく。窯の中で均一に火が通るように、長い鉄の棒を使ってくるくるとピザ生地を回す。

 「昔は鋸南町でも捕鯨が行われていて、子どもの頃はクジラを食べていました。クジラのことを『勇魚(いさな)』というので、イタリアン風に『イッサーナ』というメニュー名にしまし」と地元出身の吉岡知弘店長。

 初めて食べる味わいだが、味付けも絶妙でなかなかいける。やわらかい赤身肉で、まったく臭みがない。

 クジラ肉は臭みがあり硬いというイメージを持っている方は、これを食べると印象が変わるはず。房総の新名物、クジラのピザをぜひご賞味あれ。

※Mサイズ:1,650円、Sサイズ:1,350円

Pizzeria Da Pe GONZO

所在地 千葉県安房郡鋸南町保田724
電話 0470-29-5530(道の駅 保田小学校)
営業時間 11:00〜15:30(L.O.15:00)
定休日 無休
https://hotasho.jp/gonzo/

野添ちかこ(のぞえ・ちかこ)
温泉と宿のライター/旅行作家

「心まであったかくする旅」をテーマに日々奔走中。NIKKEIプラス1(日本経済新聞土曜日版)に「湯の心旅」連載中。著書に『千葉の湯めぐり』(幹書房)。国立公園満喫プロジェクト有識者会議委員(環境省)、岐阜県中部山岳国立公園活性化プロジェクト顧問、熊野古道女子部副部長。
https://zero-tabi.com/

2021.12.21(火)
文・撮影=野添ちかこ