切なさ爆発! 遠い目になる失恋クリスマスソング
■桑田佳祐「白い恋人達」(作詞 作曲:桑田佳祐)
桑田佳祐さんのソロ曲は、聴き手を容赦なくセンチメンタルゾーン引きずり回しの刑に処してくる。聴く時期を間違えると嗚咽が止まらなくなる!
この曲も二度と帰らない誰かを待ち、涙こらえる姿が愛しくて切なくて胸が苦しい。雪よ、もう一度時間を戻してあげて、と願いたくなる一曲。
■小田和正「君にMerry Xmas」(作詞 作曲:小田和正)
クリスマス時期にケンカ。しかも彼は謝れない。メリークリスマスの一言さえ伝えられない。この意地っ張り!
「クリースマス、クリースマス!」と連呼するサビ、そして小田和正の怖いほど透き通った歌声が不安を倍増させる。雪の中オロオロしているうちに12月26日になってしまってガックリしそう。結局彼はこじらせたままフラれるだろう。あぁー(崩れ泣き)!!
■稲垣潤一「クリスマスキャロルの頃には」(作詞:秋元康 作曲:三井誠)
「距離を取り、お互い見つめ直そう」と男が彼女に提案。「何が大切なのかひとり考えたい」のだそうだ。つまり、挙げておいてなんだが、この歌はクリスマスソングではなく倦怠期のカップルの歌である。
しかし、年末をどう過ごすか、そして来年から交際をどうするか考えているカップルにとっては、とても考えさせられる楽曲。思い当たる人はぜひ聴いておこう。
しかも期間の指定が「クリスマスまで」ではなく「クリスマスキャロルが聞こえる頃まで」……。このザックリ過ぎる彼の提案にどう感じるか。「それもいいかな、待とう」と思うのか、「面倒臭い。もうええ」とキレるか。そこに二人の未来が見える気がする。
■杉山清貴「最後のHoly Night」(作詞:売野雅勇 作曲:杉山清貴)
歌詞を読むと女性がなかなかアグレッシブ。作詞家の売野雅勇氏は「結婚は結婚、恋愛は恋愛と切り離して考えるような女性」を登場させたと語っている。ということで、クリスマスを共に過ごした彼女は、どうやら他の人と結婚してしまうようだ。
杉山清貴のスタイリッシュなハイトーンボイスで歌われると「それも笑顔で受け止める男」が脳裏に浮かんでくるからスゴい。
■角松敏生「サンタが泣いた日」(作詞:角松敏生 作曲:浅野祥之)
気持ちを伝えに彼女の家に行ったら、彼女は誰かとキスをしているところで、その場をソッと去るという、コテンパンな悲恋ソングである。
「メリークリスマスさよなら」というサビに号泣。ああ、私がそばにいたなら「今日は飲んで忘れろ」と居酒屋に連れて行くのに!
2021.12.23(木)
文=田中 稲