砂漠 かえって、自分の中でバランスが取れる気がします。

 会社の中でしか通用しない、独自の価値観や偏った考えってどの会社でもあると思うんですけど、そういうものに自分を合わせなきゃって思うとつらくなってくるじゃないですか。たとえば、体育会系な会社に勤めていると、体育会系じゃない自分はダメなんじゃないかってついつい思ってしまう。

 だけど、山での暮らしがあると、たとえ1日数時間体育会系なノリに合わせないといけなくても、それは仕事だから割り切ってやっているだけで、体育会系じゃない私が人間として劣っているわけではないと思える。価値観が相対化されて、すごくいいと思います。

 

家も広くなって、家賃も安くなった

——地方での生活は、経済的なメリットもありますか。

砂漠 家もすごく広くなって、家賃も安くなりました。東京では持つのが難しかった車も持てて、どこか遊びに行きたいなと思ったら車でひゅっと行けてしまうし。

 通勤にすでに片道1時間以上かけている人はたくさんいらっしゃるので、そこまで不便ということもないんじゃないかと思います。エミューちゃんさえ飼わなければ、全然大変ではないです。

——エミューちゃんを飼うことは大変とのことですが、それでも飼ってよかったなと思う瞬間は?

砂漠 もう常に思ってます。仕事中も「エミューちゃんに会いたいな。家に帰ったらエミューちゃんがいるから幸せだな」と思いながら仕事をしてますし、友達の家に遊びに行って、そこの家の猫ちゃんがかわいいと「ああ、私も早くエミューちゃんを抱っこしたいな」と思います。

 飼ってよかったなと思うというよりは、エミューちゃんを飼う前の人生が、私の中で全て黒歴史になっていったみたいな感じですね。今が幸せすぎて。

——エミューちゃんはこれからもっと大きくなるとのことですが、このまま室内飼いは続けるのでしょうか?

砂漠 エミューちゃんはまだ子どもなので寂しがるんですけど、大人になったら寂しがらなくなるかもしれないので、そうなったら外に出そうかなと思っています。そこも、エミューちゃん次第ですね。

撮影=松本輝一/文藝春秋

2021.11.25(木)
文=「文春オンライン」編集部