——「なぜエミューなのか」とはならなかった?
砂漠 最初はそうなっていた気もするんですけど。いつの間にか飼う流れになっていました。
——飼い始めるのに、何か特別な手続きは必要なのでしょうか。
砂漠 愛玩目的での飼育が禁止されている特定動物にはあたらないので、個人がペットとして飼うことができるんです。私の場合は友人が牧場から買ってきたエミューの有精卵を譲り受け、孵卵器で育てました。
——卵から!
砂漠 はい。卵が孵るまで、2ヶ月くらいかかるんですよ。その間は孵卵器内の湿度を保つために加湿したりしていました。
エミューの卵が孵る確率は低いらしくて、最初は卵が生きているか死んでいるかもわからなかったんですけど、孵卵器に入れてから30日から40日すると、卵がだんだんと動くようになるんです。
口笛を吹くとガタガタッと揺れたりするので、「生きてるかな」と思ってピーッと鳴らしたりしてました。
とにかく添い寝が大変だった
——生まれてから大変だったことは?
砂漠 添い寝ですかね。雛の時は体温調節ができないので、エアコンを入れた部屋に水槽を置いて、その中にエミューちゃんを入れていたんですけど、夜中に何度も目覚めてしまって、水槽の壁を全力で突き続けたりしてしまう。
雛の頃は、気にくわないことがあると、体力の限界まで暴れ続けていたんですよ。当時はそのせいで全然寝れなくて、つらかったです。
——別々に寝ることはできないものなのでしょうか。
砂漠 普通の人工保育では人が付き添い続けることはないんですけど、エミューちゃんは添い寝しないと怒りましたね……「刷り込み」があったからかもしれません。
——砂漠さんのことを、まるで親鳥かのように思っている。
砂漠 そう思っているみたいです。親鳥の行動を真似する習性もあるみたいで、そのせいか人が手で触っているものをつつきたがるんです。
人間が触ったお皿なども触って落としてしまうので、大きくなっていろいろなものに背が届くようになった今は、人間の食事のときは部屋に入れないようにしています。
2021.11.25(木)
文=「文春オンライン」編集部