ゆっくり過ごしたい秋の夜は、いつもと趣向を変えて自宅でアウトドア気分。まきばに行ったつもりで、かわいい羊たちを愛でてみませんか。

 今回は、羊をこよなく愛する動物写真家・平林美紀さんがこれまでに撮影したたくさんの羊の写真をお借りして、その魅力をご紹介します。

 かわいい羊やまきばの写真は、平林さんのInstagramTwitterでも会えます。

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なんでこんなに癒される? 羊の不思議な魅力とは

 羊は子どもの頃から親しみのある動物のひとつ。眠れない夜にその数を数えたり、牧場で触れ合った思い出があったり。そんな羊は、大人になった今でも見ているだけで気持ちを和ませてくれます。

 その癒しの理由を探っていくと、新たな魅力を発見できて、もっと羊に癒されるはず。

 そこで、牧場をめぐって撮影することをライフワークにしている平林さんに、知っているようで知らない羊のこと、いろいろ教えてもらいました。

 2005年にワーキングホリデーで滞在したニュージーランドで、牧場で働きながら撮影旅行をしていた平林さん。このときの経験が“羊愛”に目覚めるきっかけに。

「実はそれまで、羊はふれあい動物のひとつという印象でした。でも見たこともない品種の羊たちや、さまざまな表情にも驚いて。まるで空を飛ぶように高く跳ね上がる子羊との出会いも大きかったですね。羊ってなんておもしろいんだろうと、すっかり魅せられました」

 写真の羊たちを見ていると、のんびりとしていて、とても温厚そうですが、どんな性格の動物なのでしょうか。

「羊は草食動物なので、めったに争ったりしないのですが、実はとても臆病。羊に“群れる”習性があるのもそのため。ひとりだと不安で、身を守る手段がないから群れるんです。気の合う者同士、親子や兄弟・姉妹といることが多いですが、きっと仲間と一緒だと怖くなくて、安心するのでしょうね。同じ草食動物のウシやヤギはそこまで群れませんし。羊は一頭で見てもかわいいし、群れで見ても楽しいですよ」

 しかも行動も仲間と一緒。例えば、誰か草を食べ始めると、ぞろぞろと続いて食べ始め、誰かが食べるのをやめると、まわりもそれに続いていくそう。

「だからといって、リーダーがいるわけではないそうで。食べて寝て、また食べて寝る……を繰り返す毎日を思うままにマイペースに生きている。それでいて団結力があって。そのまとまり具合に“平和”を感じるんです」

 そんな羊たちの平和さが大好きで、いつも癒されているという平林さん。次ページからは、羊たちの“癒しの理由”を探っていきます。

2021.10.30(土)
文=中村美枝 (JAM SESSION)
写真=平林美紀