子羊の愛らしさと親子の絆にほっこり

 顔が丸く、鼻が短い顔立ちが特徴の子羊。生まれてから1年ほどで大人と同じくらいの大きさになり、あどけなさを残しつつも、だんだん顔立ちが変わってきます。そして、大人になるにつれ、鼻が伸び、顔が細長くなったり、ごつい顔つきになったり。個性が出てくると言います。

 癒しの理由②のキーワードは「子羊・親子」です。

「大人の羊も見ていて楽しく魅力的ですが、やっぱり断トツにかわいいのは、子羊。顔が丸く鼻が短いほどかわいいと思うので、幼いほど愛くるしさが増します」

 羊の一般的な出産期は1~3月。2月に出産のピークを迎える牧場が多く、寒い時期に産まれた赤ちゃんは、お乳を飲んで育ち、放牧地に緑が生える頃に草が食べられるように。その頃になると、毛もある程度伸びてきて、かわいい盛りを迎えます。

「まだ赤ちゃんぽさが残る春先の羊は最高にかわいい。羊は双子で生まれることが多いので、兄弟・姉妹でじゃれ合ったり、お母さんに甘えたり。表情もしぐさもあどけない。きっと誰が見ても、その愛らしさに癒されるはずです」

 羊は若いほど元気だそうで、平林さんがニュージーランドで衝撃を受けた、あの“飛ぶ羊”が見られることも。

「羊は後ろ脚の筋肉が発達していて、蹴り上げる力が強いんです。大人になるとあまり跳ねなくなりますが、子羊は飛び跳ねるのが好きらしく、国内の牧場でもぴょんぴょん跳ねる姿を見かけます。遊んでいて楽しいときやうれしいときに跳ねたくなるみたいですね」

 そんな子羊と行動をともにするのが、お母さん羊。母と子の関係も愛でて楽しめば、癒し度がさらに増しそうです。

「羊の親子は、自分の親か子かを匂いで判断するようで、自分の子じゃない子羊がおっぱいを飲もうとすると、どついて飲ませないんです。普段は臆病なのに、牧羊犬が近づくとおろおろしながらも追い払ったりして、子どもを守ろうとする強いところもある。そういう親子の絆を見ていると感動します。母は強しだなって」

2021.10.30(土)
文=中村美枝 (JAM SESSION)
写真=平林美紀