注目アーティストが集う会場を要チェック

 山本アパートの1階に展示されるのは、ジョリーン・モク、エヴァ・ユウ、山本千愛の作品。香港生まれのジョリーン・モクは、世界各国のアーティストインレジデンスに参加し、国内では福岡アジア美術館や国際芸術センター青森でのプログラムに参加してきました。本展では、移動が制限されるいま、重要性が高まった郵送や宅配サービスに着目した《Fortunately, or not》を発表。写真と映像によって、人と人の繋がりを可視化しています。

 12フィートの木材を持って、途方もない距離を歩いて移動する「12フィートの木材を持って歩く」プロジェクトの新作を発表したのは山本千愛。身体を制限される不自由さを移動に制限がかかる現代社会と重ね合わせながら生み出した作品だそう。移動という行為や身体性について追及します。

 八番館に展示されているのは、黄 琬玲(ホァン・ワンリン)、増山士郎、ミティ・ルアンクリタヤー、志村茉那美の作品。バンコク生まれのミティ・ルアンクリタヤーは、都市開発によって変化する労働者階級の生活に焦点を当てます。退廃的な美しさを漂わせるモノクロの写真は、八番館のほか、展示エリア内の9カ所のウインドウで展示されています。

 また、国内外に伝わる言い伝えや史実を調査し、それに基づくCGアニメーションを発表してきた志村茉那美は、横浜市営地下鉄の踊場駅の「夜な夜な踊る猫」の伝説を題材にした作品を発表。醤油屋の飼い猫が手ぬぐいを盗んで毎晩ほかの猫たちに踊りを教えていたという物語を通して、物事を一面的に判断してしまいがちな現代社会の在り方に疑問を投げかけます。

 そのほか、オープンウインドウのカフェや、アートな古書がずらりと並ぶ黄金町アートブックバザールに立ち寄ってみるのもオススメ。黄金町の歴史に思いを馳せながら、ゆっくりとアートな散策を楽しんでみてはいかがでしょうか?

『黄金町バザール2021-サイドバイサイドの作り方』

会期 開催中~2021年10月31日(日)
会場 京急線日ノ出町駅・黄金町駅間の高架下スタジオ、周辺のスタジオ、地域商店、野外空地ほか
電話番号 045-261-5467
開館時間 11:00~19:00
休館日 月曜
料金 一般1,000円
https://koganecho.net/koganecho-bazaar-2021/

2021.10.19(火)
文=鈴木桃子
写真=鈴木七絵