ホラーから仕事のやり方を学ぶ

『伊藤潤二傑作集 富江』
伊藤潤二 著

「富江は謎の美少女で、その美しさによって何度も惨殺されよみがえりながら、人々を狂わせ滅ぼしていくのですが、自分のやるべきことを徹底して追求する彼女のブレない仕事のやり方には頭が下がります」(藤野さん)

読むと悩みがどうでもよくなる

『中原昌也の人生相談 悩んでるうちが花なのよ党宣言』
中原昌也 著

 著者が様々な悩み相談に答えていく。

「やらかしてしまったときは小さくあれこれ考えてもどうにもならない。一度あさっての方向へ思考の針を極端に振り切るといいのではないかと思わせてくれる一冊」(三浦哲哉さん)

主人公のような公平さで生きたい

『闇金ウシジマくん』
真鍋昌平 著

 闇金融を経営する主人公と、彼の客たちを描く。

「ウシジマくんになりたい。自殺しようとしてた債務者に『ナニ泣いちゃってンの?』と言った後に、遠巻きに笑う人々を「ナニ笑ってンの?」と睨みつける姿に痺れました」(千早さん)

「心を揺さぶられた本」を教えてくれた方々(50音順)

宇垣美里(うがき・みさと)さん
フリーアナウンサー

1991年生まれ。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」などに出演するほか、執筆活動も行う。週刊文春で「宇垣総裁のマンガ党宣言!」を連載中。

尾崎世界観(おざき・せかいかん)さん
ミュージシャン

クリープハイプのヴォーカル・ギター。アルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」でメジャーデビュー。最新小説『母影』が第164回芥川賞の候補作に。

柴田聡子さん
ミュージシャン

1986年生まれ。東京藝術大学大学院修了。詩人としても活動。最新アルバムは「がんばれメロディ!」。「文學界」でコラム「きれぎれのハミング」を連載中。

千早 茜(ちはや・あかね)さん
作家

1979年生まれ。『魚神』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。最新作は『ひきなみ』(KADOKAWA)。食についてのエッセイ『わるい食べもの』(ホーム社)がある。

トミヤマユキコさん
漫画研究者

1979年生まれ。大学では少女マンガ研究の講義を担当。著書に少女マンガの“ブサイク”な登場人物を考察した『少女マンガのブサイク女子考』(左右社)など。

藤野可織(ふじの・かおり)さん
作家

1980年生まれ。「いやしい鳥」でデビュー。『爪と目』で芥川賞受賞。著書に女性同士の探偵と助手を描く『ピエタとトランジ〈完全版〉』(講談社)など。

三浦哲哉(みうら・てつや)さん
映画評論家

1976年生まれ。青山学院大学文学部比較芸術学科准教授。専門は映画評論、表象文化論。著書に『LAフード・ダイアリー』(講談社)など。

私が心を揺り動かされた本

2021.10.23(土)
Text=Nozomi Nagata
Photographs=Kengo Shimizu

CREA 2021年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

明日のためのエンタメリスト

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特別定価860円

CREA9月発売号は「エンタメ」特集。家に籠る時間が長くなって、あらためて“エンタメ”の力に気づいた人は多いのではないでしょうか。疲れた時こそ、観て、聴いて、読む。心身どっぷり浸ってもいいし、何も考えず笑うだけでもいい。ドラマ、映画、ラジオ、舞台、本、マンガを中心に、明日への活力となるリストをお届けします。