いろいろな雑念が なくなった感じがします

 劇中では、田舎の素朴な青年になり切っていた竜星さんだが、役を離れたところの彼は、長い手足に小さな顔、たたずむだけで見惚れるオーラを放っている。

「本当ですか!? ……え、肌もキレイ? ありがとうございます(笑)。僕、雑誌がすごい好きなので、女性誌も含めて読むんですよ。誌面で紹介されているスキンケアアイテムとか、“良さそうかも”と思ったら使ってみたりしますし。

 とは言いながら、ひとつを決めたら、意外と一途に使うタイプなんですけどね(笑)。でも、肌にはときどき変えたほうがいいんですよね」

 自分のことになると、こうして、途端にひょうきんに話してくれるのも、竜星さんのチャームポイントのひとつ。しかし、こと芝居に関して話題が移ると、表情も引き締まり、力強い言葉に切り替わる。

 前回、竜星さんがCREA WEBのインタビューに登場したのは2017年2月。「いちばんは表現することをマルチにやりたいですし、そこはブレずにいたい」と語っていた。あれから3年、竜星さんは俳優として著しく飛躍している。

 NHK連続テレビ小説「ひよっこ」の出演に始まり、「同期のサクラ」、「テセウスの船」と連続ドラマの怒涛の出演が続いた。一方、映画『トイ・ストーリー4』では日本語吹き替えにチャレンジ、先日までは三谷幸喜さん作・演出の舞台「大地」にも出演。

 今年の夏は本作以外にも、『ぐらんぶる』、『弱虫ペダル』と出演映画が3作も公開され、うち2本は主演というポジションだ。

 バラエティー豊かな作品・役柄において、まさに「マルチな表現」を叶えてきた竜星さん。心境を尋ねると、俳優として表現することへの想いが一層強くなったと語る。

「自分の想いも、社会がどうなっているのかも、もっと言えば、人生とはどういうことなのかという思想を表現していくのが、僕らの仕事だと思っています。それぐらい大きいことをしているって、思わなければいけない。ステイホーム期間中、自分と向き合って勉強してみて、本当の意味で思えた気がするんです」

 以前は、俳優が自分にとって天職なのか、多少の逡巡もあったというが、「今、いろいろな雑念がなくなった感じがしますね」と、前を向く。

「この仕事は自分に向いているし、“役者をやるんだ”とまっすぐに思っているので、そこに向かってただ走っていこうとしています。そのためにやることは、毎日の勉強と努力。僕が一番苦手なことですけど……(笑)。きちんとやっていこうと思っています」

 竜星さんのあゆみは、加速度を増していく。これから出会う作品の数々にも期待したい。

竜星 涼(りゅうせい りょう)

1993年3月24日生まれ。東京都出身。2010年、ドラマ「素直になれなくて」でデビュー。2013年、スーパー戦隊シリーズ「獣電戦隊キョウリュウジャー」で初主演。『orange』『22年目の告白―私が殺人犯です―』『先生!、、、好きになってもいいですか?』『ぐらんぶる』など話題の映画に多数出演。近年の主なドラマ出演作に「ひよっこ」「アンナチュラル」「昭和元禄落語心中」「テセウスの船」などがある。

『リスタートはただいまのあとで』

職場で上司に人間性を否定され、会社を辞めて10年ぶりに田舎に戻った光臣(古川雄輝)は、近所で農園を営んでいる熊井のじいちゃんの養子・大和(竜星 涼)と出会う。
大和のことを「馴れ馴れしくてウザい奴」と思っていた光臣だが、父親に実家の家具店を継ぐ事を拒絶され、農園の手伝いをはじめると、大和と過ごす時間が増えていく。
ふさぎこんでいる光臣を励まし、心の痛みに寄り添う優しい大和。次第に、自分の弱さも受け入れてくれる大切な存在に変わっていく。
ある夜、酔いつぶれた二人だったが、目が覚めた光臣は寝ている大和に思わずキスをしてしまい……。
光臣は大和へ想いを伝えることはできるのか?
そして、親との確執を乗り越えて、自分の夢と向き合う事ができるのか?
古川雄輝×竜星 涼“ダブル主演・初共演”で贈る、癒し系“純愛BL映画”。

https://restart-movie.com/
2020年9月4日(金)公開
©2020 映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

2020.09.05(土)
文=赤山恭子
撮影=鈴木七絵
ヘアメイク=TAKAI
スタイリスト=山本隆司