味はもちろん、かつおの生き様も好き。前世はかつおなのかも
◆「かつお食堂」永松真依さん/鰹節伝道師
![ねじり鉢巻きに、かつお愛あふれるオリジナルTシャツで店に立つ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/2/-/img_62a511c963387c00525d9acb9cf234d9147711.jpg)
店を始める前は派遣で働いていて、夜遊びばかりしていました。
転機は25歳のとき。福岡に住む祖母に会いに行くと、私のことを心配していたのか、鰹節を削ってお味噌汁を作ってくれたんです。
当時、祖母は85歳で、一生懸命に削るその姿が美しくて心を打たれました。同時に、鰹節は昔からある食材なのによく知らないなって。
それで興味を持ち、北は宮城の気仙沼から南は沖縄の宮古島まで、かつおの産地を3年かけて回遊しました。それで付いたあだ名が「かつおちゃん」。
しばらくは、鰹節伝道師としてイベントなどで鰹節を削っていましたが、おいしさと魅力を伝える場として「かつお食堂」をオープンしました。
![鰹節を削る様子が見られるのも醍醐味。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/a/-/img_2a6b58321310ada49ee7a2a76c4152e7188746.jpg)
![かつお食堂ごはん 909円。削りたてのふわふわの鰹節をのせた土鍋ごはんに、鰹節と昆布でダシをとった味噌汁、鰹節のでんぶが付く。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/8/-/img_b8be8f8e9d014e08978fafae1fa93cd7308888.jpg)
いちばんの目的は、削りたての鰹節と炊きたてのごはんを味わってもらうこと。
さらに、産地や作り手による違いも知ってほしくて、月替わりで5種類の鰹節を用意しました。
![鰹節の個性に合わせて、かんなの刃を金づちで調整。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/5/-/img_056c1e0562e15ba737811ff59d282b93189921.jpg)
![この日は鹿児島「坂井商店」の鰹節。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/8/-/img_b88309aa04113efb9d8d41c86210c502397406.jpg)
![新潟県燕三条の「shayo」の鰹節削り器を愛用。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/b/-/img_fb89b818b369ba25ceb61f80147bf0c8159443.jpg)
私の腕力の都合で1日50食限定だったのですが、最近、17歳の「子がつおちゃん」が弟子入りして、いろいろパワーアップ中。
これからも、かつおのように仲間を大切にしながら、鰹節のある暮らしを提案していきたいです。
![特注の鰹節神社。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/3/-/img_935caacc43ca1474d64f127c952845cd193289.jpg)
永松真依(ながまつ まい)さん
1987年神奈川県生まれ。あだ名はかつおちゃん。2017年、渋谷・宮益坂に「かつお食堂」をオープン。19年に現在の場所に移転。店に立つかたわら、鰹節伝道師として、ワークショップや講演、鰹節削りの実演を行う。
かつお食堂
所在地 東京都渋谷区鶯谷町7-12 GranDuo渋谷B1F
営業時間 8:30~14:00、土・日曜、祝日 9:00~14:00
定休日 水・木曜
https://katsuosha.stores.jp/
2020.07.01(水)
Text= Chiaki Tanabe(Choki!)
Photograph=Ichisei Hiramatsu
CREA 2020年6・7月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。