清涼飲料史に残る傑作の数々

 残念ながら僕の手元にノートは残ってないのですが、殿堂入りしたレシピは覚えています。

 記念すべき1作目は「カルピス烏龍緑」。

 これは、「ノンアルカクテル界のアダムとイブ」と呼ぶにふさわしい傑作でした。ジュー研の集大成とも言える大作が「T3」。

 コーヒー、紅茶、烏龍茶のミックスなんですが、昔、台湾でコーヒーと紅茶を合わせたお茶を飲んでおいしかったので、果敢に第3のお茶を入れてみようという挑戦でした。

 課題は烏龍茶の濃さだったので、茶葉の量をいろいろ変えて一晩に20杯も試作する日が何日も続いて。おそらく店員さんの間で、「チャッパ(茶葉)」って呼ばれてたと思います(笑)。

 ここで紹介したカクテルレシピは、コンビニで買える飲み物で作れるものばかり。好みに合わせてご家庭でも楽しんでもらえたら長年の研究が報われますね。

ジュー研認定 ~上級篇①~
アンバサメロン緑

アンバサ(カルピスソーダでも可)にクラッシュアイスを浮かべ、メロンソーダを少量垂らして緑茶を注ぐと翡翠色に。


ジュー研認定 ~上級篇②~
T3(ティースリー)

コーヒー:4、紅茶:4、烏龍茶(濃いめ):2。映画『ターミネーター3』(T3)に影響され、コーヒーもTEAに含んだ問題作。

菊地成孔(きくち なるよし)さん

音楽家・文筆家。1963年生まれ。音楽家としては、作曲からアレンジ、プロデュースをこなすサックス奏者として活躍。文筆家としては、音楽、映画、格闘技、食などに関する批評を執筆。ラジオパーソナリティやDJなどの出演多数。

2020.06.29(月)
Text=Chiaki Tanabe(Choki!)
Photographs=Wataru Sato

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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