ケイティ・ホームズをアイコンに迎えた
ボビイ ブラウン

キレイになることを“キレイごと”にしないブランド

1～3 曇りのない肌に導く“ヨガ美白”ライン。
1 エクストラ ブライト アドバンスド フォーミング クレンザー 100g￥4200(3/1発売)
2 同 モイスチャーローション 150ml ￥6300(3/1発売)
3 同 セラム 30ml ￥11550(3/1発売)

4 多様なクマやくすみを隠しつつナチュラルで透明感ある仕上がりの目元用コンシーラー、アイブライトナー(￥3780 1/18発売)とともに、肌の色ムラをカバー。リタッチング パウダー 上からローズ、イエロー、ピーチ 各￥4725(イエローは新色、ローズ、ピーチは限定色。1/18発売)
5 顔にもボディにも使える傑作。エクストラ フェイスオイル 30ml ￥9450

6、7 この春の新色はモダンとプリティを表現した鮮やかなピンクとレッドのコレクション。
6 シアー カラー チーク ティント シアーピンク ￥3990(2/1限定発売)
7 クリーミー マット リップ カラー ハート 各￥3675(2/1限定発売)／ボビイ ブラウン

 ケイティ・ホームズ……日本人にあまり馴染みがないこの人を、天下のトム・クルーズが妻に選んだ時、「なぜこの女性？」と思った人は少なくないはずだが、出産後はむしろ“スリちゃんのママ”としての露出が中心となり、父親の溺愛ぶりとスリちゃんのお姫様ぶりのすごさに隠れて、やっぱりカゲは薄かった。

 しかも6年で破局。トムの離婚はこれで3度目となり、世間は「またぁ？」という反応。原因も夫が宗教に心酔しすぎたためとされ、ケイティには当然のように同情が集まった。でもそんな折も折、化粧品ブランド、ボビイ ブラウンが、ケイティをアイコンに起用というニュースが飛び込んできて、この人にいきなり本物のスポットライトが当たったのだ。

 コスメ界ほど、タブーの多い世界もなく、“ネガティブ”なものはことごとく排除。40代からの化粧品にも10代のモデルの顔が使われてきた。もちろん近年は、40代の女優の起用がトレンドともなったが、そうなればなったで、“修正しすぎ”とか、“美容整形した、しない”の論争になったり、すべてをキレイごとにはしておけなくなっている。つまり、それでもやっぱり広告には、シワやたるみが映ってはいけない……それがこの世界の暗黙のルールなのだ。

 そんな中で、ひとり“リアル”にこだわってきたのが、ボビイ ブラウンだった。これまで一度もアイコンをもたずにきて、広告にはたくさんの一般女性の顔を“リアルウーマン”として“起用”。シワのある人も、たるみがある人も、あらゆる職業のあらゆる年齢の人が笑っているのが、ボビイのビジュアルで、女優と契約すること自体、これが初めてのこと。でもだからケイティだったのだ。

 離婚はケイティからの申し出でもあり、当初はもっぱら“トム・クルーズ妻の座を自ら降りるって、なんともったいないの!?”という反応だったのが、スリちゃんを決して甘やかさない姿勢などから、次第に“子供のためにひとり立ち上がる強い母親”という評価を集めるようになり、慰謝料の予想外の少なさがまたケイティ支持を高めた。ボビイ ブラウンはケイティがまだ“トムの妻”というスーパーセレブだったら契約はしていないだろう。この初の“アイコン起用”はケイティという女性の高潔な生き方へのボビイからのエールなのかもしれないのだ。一般の女性たちに直接話を聞き、メイクを教えることをモットーとしてきたボビイは「ホームレスの女性から離婚した女性まで、すべての女性の生き方に刺激を受けられるこの仕事は最高」と語る。ボビイにとってケイティは女優でも“時の人”でもなく、健気に生きるひとりの女性。「人柄に惚れての起用」というあたりが、まさにボビイなのである。

 キレイになることを“キレイごと”にしないというこのボビイの姿勢は、化粧品づくりにもそのまま息づいている。まず、ボビイ ブラウンが“女優やモデル”をアイコンにしてこなかった理由のひとつは、“自身の作品”をアピールするより、“誰でもキレイになれるのだ”という自信を全員にもってもらうことをモットーとするから。でもそれを“口だけ”にしないためには、全員が自分をキレイにする方法を具体的に知らなきゃならない。だから、ボビイは“売る”より“教える”を優先するユニークなカウンターになったのだ。「自分がキレイになる方法がわからない」というなら、ともかくボビイのカウンターに行ってほしい。感動するほどていねいに熱心に教えてくれる。

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2013.01.26(土)

CREA 2013年2月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。