新作映画で魅せた 鮮やかな掛け合い

──おふたりの鮮やかな掛け合いは練習したのですか?

中村 しませんよ!(笑) 相手は「神木隆之介」ですから。1回合わせれば、何をしたいのか、お互いチューニングできるので、あとはリズムに乗って、ビートのなかで遊ぶような感覚でした。

 逃げるシーンの、昭和のコントみたいな動きは楽しかったね。リュウがどうしてもやりたいと……噓です、そうは言ってません(笑)。「こう動いたら面白いかな?」と提案してくれたので、俺が拾うからやっちゃおうぜ!とやってみました。

神木 テストのあとに話して、いきなり本番でやったらそのままOKになりました。そういうことが今回多かった気がするね。

中村 あれは、台本を読んだだけでは思いつかない、現場で実際に小道具を手にして膨らんでいったもの。そういうことが許される豊かな現場。至高のシーンでした。

神木 たしかに、ライブ感のある現場でしたね。

中村 逆に、ライブ感がないといけないコンビだったと思う。

神木 僕はなるべく視野を広げていようと思いながら演じていました。せっかく誰かが面白いことをやってくれているのに、それを拾えないのは悔しいから。

中村 ミステリーなので、観客に伝えなければいけない情報もあります。神木隆之介は、それも踏まえて、人のボケを受けつつ、適当に切り上げながら観る人が混乱しないように進める。

 周りの俳優を生かしながら、主演としても立たせることができるから、個性豊かなメンツでもブレない映画になっていたと思います。リュウは面白いことが大好きだからね。

神木 好きです(笑)。だからついつい拾いたくなっちゃう。

2020.06.02(火)
文=黒瀬朋子
撮影=馬込将充
ヘアメイク=MIZUHO(vitamins/神木)、Emiy(中村)
スタイリスト=百瀬 豪(神木)、小林 新(UM/中村)

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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