エネルギーが充満する 若く濃厚な撮影現場

 1993年生まれの前田悠希監督をはじめ、キャストも岡山さんのような経験者から無名の若手まで、フレッシュな才能が集結している。

「映像の作品でまだそれほどキャリアを積んでいない人たちと集まって、一緒に作品を作っていく環境もなかなかなかったので、若く粗削りで濃厚なエネルギーが充満している現場でした」

 演じたのは、100年以上の歴史を持つ近衛寮で暮らす大学4回生の志村。

 老朽化により建て替えの議論が巻き起こる中、建物を残したい寮生のひとりとして、冷静に問題に向き合っていく人物だ。

「みんながそれぞれの方向に浮世離れしている中で、志村は理性のフィルターを通して濾過されたものだけを言葉として吐いていくイメージでした。

 なかなか計算外のことが起こらないキャラクターなので、観ている人に志村に興味を持ってもらい、話していることを聞こうと思ってもらうにはどうすればいいかなということは、地味に悩んでましたね。

 ただ、GジャンとGパンのセットアップという衣装に関しては大胆なアプローチができました。おしゃれではないけれど、自分の美意識でちゃんと選択している人にしたかったんです。

 夏でも袖なしのGジャンにタートルネックを合わせるっていう(笑)。謎のこだわりを反映させました」

2020.04.22(水)
文=松山 梢
撮影=関 信行
スタイリスト=岡村春輝
ヘアメイク=森下奈央子

CREA 2020年5月号
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この記事の掲載号

おいしい、台湾。

CREA 2020年5月号

その一口できっと笑顔
おいしい、台湾。

定価820円

台湾を訪れると、いつも地元の人のあたたかさ、おおらかさに心癒されます。その笑顔の秘密は、日々の豊かなごはんなのかも。あつあつの小籠包に滋味深いお粥や豆漿、心ときめくかき氷とふわふわの豆花。おいしいものは元気をくれる。そんな当たり前だけど大切なことを思い出させてくれる旅をご案内します。