エネルギーが充満する 若く濃厚な撮影現場

 1993年生まれの前田悠希監督をはじめ、キャストも岡山さんのような経験者から無名の若手まで、フレッシュな才能が集結している。

「映像の作品でまだそれほどキャリアを積んでいない人たちと集まって、一緒に作品を作っていく環境もなかなかなかったので、若く粗削りで濃厚なエネルギーが充満している現場でした」

 演じたのは、100年以上の歴史を持つ近衛寮で暮らす大学4回生の志村。

 老朽化により建て替えの議論が巻き起こる中、建物を残したい寮生のひとりとして、冷静に問題に向き合っていく人物だ。

「みんながそれぞれの方向に浮世離れしている中で、志村は理性のフィルターを通して濾過されたものだけを言葉として吐いていくイメージでした。

 なかなか計算外のことが起こらないキャラクターなので、観ている人に志村に興味を持ってもらい、話していることを聞こうと思ってもらうにはどうすればいいかなということは、地味に悩んでましたね。

 ただ、GジャンとGパンのセットアップという衣装に関しては大胆なアプローチができました。おしゃれではないけれど、自分の美意識でちゃんと選択している人にしたかったんです。

 夏でも袖なしのGジャンにタートルネックを合わせるっていう(笑)。謎のこだわりを反映させました」

次のページ 今は個でいることが 大事な時期なんだと思います

CREA 2020年5月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。