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ジェンダレスなシプレ
vol.57_MOLTON BROWN
人気ヘアサロンの創設者が
自らハーブをブレンド
今回はモルトンブラウンの巻。CREA読者の中にはホテルのアメニティグッズで知ったという人もいるかも。実は45年以上の歴史を持つ英国のライフスタイルブランドなのである。
「モルトンブラウンは1971年、ロンドンのメイフェア地区にあるサウスモルトン ストリートにヘアサロンをオープンしたことに始まります。トップヘアスタイリストだった創設者はサロンの顧客のためにハーブを自らブレンドしてヘアケア製品を作り、これが評判に。植物の力でライフスタイルを彩りたいとアイテムを広げ、販売するようになったのです」と話すのはモルトンブラウンジャパン ブランドマネージャーの雪岡あゆ美さん。
1984年に最初のハンドケア、オレンジ・グローブ(現・オレンジ&ベルガモットの前身)が登場。
その後もボディケア、メンズライン、ヘアケアラインが発売され、89年にホテルアメニティラインが誕生。
「業務用の製品が使われていた当時、香りや肌への効果を追求したラグジュアリーなアメニティの発表は画期的なことでした。現在は世界の1,000以上のホテルで展開しています」
日本では2006年に本格的に販売をスタートし、2007年に初の直営店(東京・新丸ビル)がオープン。そして12年、ビッグニュースが飛び込んでくる。
「モルトンブラウンがエリザベス女王陛下よりROYAL WARRANTを受け、英国王室御用達ブランドに。とても名誉なことでブランドの認知度が一気に上がりました」
女王陛下が認めた物作りとは? 詳しくは次の項目で。
世界中の植物成分を
独自のブレンディングで
モルトンブラウンの魅力は何と言っても香り。
どの香りも奥深く繊細で脳にグッとくる感じ。優しく寄り添ってくれる香りもあれば、何の香りか分からないほどミステリアスな香りもあって、一度ハマると抜け出せなくなるのだ。
「モルトンブラウンは『メイド・イン・イングランド』のブランド。香りの設計は契約調香師とともに行い、クラシカルな中にも新しさ、モダンさを加えて。
世界中から採取した植物成分や希少な成分を取り入れ、組み合わせ方にもこだわってモルトンブラウンらしいひねりのある香りを作り上げます。一つ一つの作業を丁寧に。ブレンディング、製造はすべて英国で行っています」
ブランドの核となるのがハンド&ボディケアコレクション。現在はハンドケアが9種類、ボディケアが20種類以上。
アイテムごとに香り立ちが異なり、香水のような香りの変化が楽しめる。蓋を開けた瞬間から泡立てたとき、洗い上がりの後肌、翌日の香りまで考えて設計する徹底ぶり。
「それぞれの香りにはインスピレーションとなった土地があって、たとえばオレンジ&ベルガモットはスペインのセビリア、最新のゼラニウム ネフェルトゥムはエジプトの世界観を香りで表現しています。
香りを通して世界中を旅している気分になれるのもモルトンブラウンの特徴です」
女王陛下のお気に入りは意外にもすっきり系のライム&パチョリ。ミシュランを獲得したスターシェフたちにも人気のシリーズらしい。
2019.07.25(木)
Text=Masami Yoshida
Photo=Kenichi Yoshida