「手紙」と『100万回生きたねこ』

──2018年6月に配信リリースされたシングル「手紙」に“百万回も生きた 猫のように”という歌詞があります。絵本の『100万回生きたねこ』とは何か関係があるんですか?

山内 故郷や今会えない人に対して思うことをそのまま書いた感じの歌詞なんですが、そこに“百万回も生きた 猫のように”って入れたのは、『100万回生きたねこ』が、人と人との愛情のような普遍的なことを表現している物語だと思ったからです。「誰かと寄り添っていたいけど、結局他人と他人なわけだし……」というようなことを考えていた時に、この本がパッと頭に浮かんで。「最後の最後に大事なことに気がついて、大泣きして、やっと死ねた」みたいな話じゃないですか。書きたかったのはまさにこういうことだなと思って。

──歌詞を書いている時にそんなふうにパッと思い出したということは、子どもの頃に読んだこの本が、よほど強く印象に残ってたんでしょうね。

山内 そうですね。父が歯科医をやっていて、待合室に絵本なんかの児童書がたくさんあったのをすごく読んでいて。その中でも特にこの本が、自分の中に残っていたんだなと思いますね。

2018.10.13(土)
Text=Shinji Hyogo
Photographs=Akari Nishi
Styling=Takashi Nii
Hair & make-up=Kanae

CREA 2018年11月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

101人の本と音楽とコーヒー。

CREA 2018年11月号

人生をちょっと自由にする、心の「スイッチ」
101人の本と音楽とコーヒー。

定価780円

慌ただしい毎日に、ちょっとひと休み。本と音楽とコーヒーを愛する101人に、大切な1冊、1曲、1杯を教えてもらいました。ちょっとだけ自由な気持ちになれたり、自分らしくいられるような、皆さんの心の「スイッチ」をご紹介します。