◆御料理 ほりうち
[四ツ谷・荒木町]

もう一度食べたい!
魅惑の品々を回想中

 すっかり秋になった。

 本当に今年の夏は暑かった。しかし、食欲の落ちる日がある中、格別な出会いもあった。今日は、この夏最高の思い出を振り返ってみたい。

 2018年7月26日、荒木町にオープンした「御料理ほりうち」。小さな店を切り盛りするのは女性二人。なんと、板場を任されているのも女性なのだ。さぞや繊細で、(意地悪な言い方をすれば)ちんまりとした料理が出てくるのかなぁと思っていたら、予想外の裏切りが待っていた。

 店内はカウンター6席と5(扉を開ければ6)席を備えた個室。コースは1万円、1万3,000円、1万8,000円の3本立てとお手頃。となったら一番いいやつをお願いしようではないですか。

 まずは3品。鱧を使った2品は、鱧そうめんと鱧ざく。前者は、鱧の骨からとったスープがいい塩梅。

 奥は、勝山の鮑を蒸したもの。ツメと山葵でいただく。蒸し鮑は大根をいれると柔らかくなると使う店が多いが、「大根の匂いがつくのが嫌なので、あえてやっていません」と語る堀内さやかさん。この店の店主だ。

 スッポンの茶碗蒸し。エキスがたっぷりでこれまた滋味深い。底には白玉が隠されていて、遊び心もたっぷり。「スッポンも好きな素材なんですよねぇ」の言葉が序章だったのは、このあとで気づかされる。

 お造りは、鱧2種。よくある湯引きに加え骨抜きの鱧が提供された。皮目を炙って氷に落とす。これは初めての味わい。えっ、また鱧? と一瞬思ったが、先付とはまた違う趣で飽きさせない。

2018.10.06(土)
文・撮影=Keiko Spice