今や伝説となった
『桐島、部活やめるってよ』裏話

――翌12年には『桐島、部活やめるってよ』で、バレー部・久保孝介(ゴリラ)役で参加します。

 運良くオーディションに受かったんですが、初めて一人で巣立っていく感じがした作品です。幸運にも同世代ばかりの現場で、1カ月間の高知ロケということもあり、いろんな話を共有できたことを覚えています。たとえば、事務所が違えば考え方も違う、ということだったり、将来の夢も違ったり、とにかく青春しながら勉強にもなりました。

――ちなみに、『桐島』の現場はどのような感じだったんでしょうか?

 1カ月ぐらいリハーサルをして、みんながみんな、いいお芝居をして、いいシーンにしたいという気持ちに溢れていました。それに、吉田大八監督は後ろにいるエキストラの動きについても粘っていて、1カットに何テイクも撮っていました。あの現場は男女の隔たりもなく、みんな仲が良かったですが、とにかく同じバレー部役だった太賀とは常に一緒にいましたね(笑)。あの映画と吉田監督には、感謝の言葉しかないですし、また監督と一緒にお仕事したいです。

――俳優として転機になった作品は?

 やはり、『桐島』だと思います。役柄的に自分は憎まれ役だったと思うんですが、作品愛みたいなものが強すぎて、日本アカデミー賞(最優秀作品賞)を獲るところまで評価されたこと自体、嬉しいんです。それで、俳優としての面白さも知り、自分自身の夢も膨らんだことも大きいです。5年経った今でも、レンタルショップで誰かが借りているような名作ですし、こうやって話題に挙がるだけでもスゴいことだと思うんです!

~次回は新作出演映画『東京喰種 トーキョーグール』などにについて、語っていただきます~

鈴木伸之(すずき・のぶゆき)
1992年10月14日生まれ。神奈川県出身。10年、「VOCAL BATTLE AUDITION 2」に参加し、その後「劇団EXILE」のメンバーに加入。ドラマ「GTO」「ルーズヴェルト・ゲーム」「水球ヤンキース」、映画『ストレイヤーズ・クロニクル』『オオカミ少女と黒王子』などに出演する。

『東京喰種 トーキョーグール』
人間社会に紛れ込んで人を喰らう「喰種(グール)」がはびこる東京。重傷を負ったカネキ(窪田正孝)は、喰種の女性・リゼの臓器を移植されて半喰種に。人を食べることでしか生きられなくなった彼は人間と喰種の狭間で苦悩しながら、喰種の駆逐を企む人間との戦いに巻き込まれる。
2017年7月29日(土)全国公開
(C)2017「東京喰種」製作委員会 (C)石田スイ/集英社
http://tokyoghoul.jp/

くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2017.07.21(金)
文=くれい響
撮影=杉山秀樹