目指したのは上質な睡眠環境

「ユナイテッド・ポラリス」の新シート。通路に対して斜めになるヘリンボーン型の配置だ。

 新シートの配置は1列に4席。1-2-1の配列で、斜めに通路側を向いたヘリンボーン型で並べられ、すべてのシートから通路に出ることができる。その中央の2席が2列、渋谷ヒカリエのホールに鎮座していた。

折りたたみ式のテーブルにも細かい工夫が。折りたたんだ状態では手前の溝にスマホを立てられるようになっていて、広げた状態では奥に溝がつけられている。

以前の記事にも書いたけれど、ユナイテッド航空が今回の新シートでもっとも力を入れているのが上質な睡眠を提供すること。シートはもちろんフルフラットになる。

左:フルフラットになると、足はモニターの下の空間へ。198センチの長さがあるので余裕の広さだ。
右:ベッドのセッティング。毛布は、膝掛けにも使える薄手のものと厚手のものの2種類が用意されている。ブルーのクールジェル入りの枕はリクエストで。

 寝具は、ニューヨークの高級百貨店サックス・フィフス・アベニューとコラボレーション。肌ざわりがいいことはもちろん、毛布と薄掛けの2種類を用意するなど、搭乗客の好みに合わせられるよう工夫されている。また、リクエストで貸し出される低反発素材の枕は、中央にはジェルが仕込んであって、熱がこもらずひんやりとした寝心地を実現している。

リクエストすると持ってきてくれるこちらの枕は、中央に熱を逃がすジェルが入っているので、ひんやりして熟睡することができる。数に限りがあるのでリクエストはお早めに!

 アジア太平洋・大西洋地区営業担当副社長のマセル・フークス氏に「ユナイテッド・ポラリス」を楽しむコツを聞いたところ、搭乗したらすぐにこの枕をリクエストすることだという。「すべてのお客様分をご用意できない場合があるので、早い者勝ちなんです」と。これを読んだ皆さんはぜひ枕のリクエストをお忘れなく!

シートとシートの間には電動のプライバシーデバイダーがあり、その手前にパーソナルライト、コントローラー、サブテーブル、収納棚がある。棚の扉の裏側にはヘッドホンと、女性にうれしい大きめの鏡も。

 また、上質な眠りに繋がるきめこまやかな工夫も。隣り合わせた2席の間の電動のプライバシーデバイダーが、搭乗時には上がった状態になっている。通常は収納されていて、必要なときにだけ上げるというのが一般的。ユナイテッド航空では、あらかじめ上げておいて、コミュニケーションが必要な場合に下げるという配慮がなされているのだ。

 これはうれしい。「それ、気がついてくれてありがとう!」と思った。隣の席が同行者でなかった場合、どちらがスイッチを入れるか微妙な雰囲気になることがある。最初からプライバシーデバイダーが上がっていればそんな気遣いは不要だ。

 「ユナイテッド・ポラリス」には、そんな細やかな配慮がなされているのだ。これも、延べ12000時間以上かけた大規模なリサーチをした成果のひとつなのだろう。

シートは前後に動かしたり、フットレストだけ上げたり、細かく調整できる。一番右の月のマークはDo not disturbボタン。
シート脇にあるDo not disturbボタンを押すと、シート番号の下に赤い文字が表示される。ホテルの客室と同じように、誰にも邪魔されずに熟睡したいときにありがたい機能だ。

2017.07.09(日)
文・撮影=たかせ藍沙