薬事法が認めたもう一つの奇跡
そして実はもう一つ、薬事法が認めた化粧品がある。オーガニックの薬用コスメ。薬用オーガニックというと、歯磨きのプロポリス、あるいは美白化粧品に限られていた(美白を謳うには厚労省が認めた薬用成分を入れなければならないから)厳密なオーガニック薬用コスメはなかったはずなのだ。極めて自己規制の多いオーガニック成分だけで薬用効果を得るのは至難の業。だからこれも一つの執念がもたらした快挙なのだ。
厳しいオーガニック認証と医薬部外品、ダブルで認可を得るという快挙を成し遂げたのが、コスキチシリーズ。言うまでもなくこれはオーガニック市場のリーダー、コスメキッチンのオリジナル。社長自らが手がけたという製品は、リップクリームはオレンジとネロリの香り、ミントとローズマリーの香りの2種類あって、唇のキメすら整う効果は、ちょっと別格。口紅の下地にも、口紅の上からでも。そしてラベンダーの香り高い保湿オイルは、赤ちゃんの肌でも使える肌荒れ防止の薬用効果が、極度の乾きから剃刀負けにも届くから、まさに一家に一本。
かくして今、改めて医薬部外品の別格ぶりが見直されている。認可を得ることのハードルの高さがそのまま手応えを物語るから。片や最先端、片やオーガニック。でもそれぞれの第一人者、ポーラとコスキチ、さすがだ!
※平成26年11月25日より、「薬事法」は「薬機法」へ改正。
齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2017.01.13(金)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫