こんなに安くてこんなに効くの? というプラセボ効果
「高いものほどよく効く」は大昔からある化粧品の方程式。時代が変わっても生き続けてきた“普遍の法則”とも言えるが、そもそもなぜ、高いものほどよく効くのかと言えば、ひとつに、高級コスメには今やはりそれなりの開発費がかけられており、一品にかける時間と手間と人件費、それ自体が大きいこと。
特に最近の高級コスメは、最先端テクノロジーを搭載しているのが普通で、そのためにはやはりそれ相応の投資が必要となった。もっとはるか昔には、ともかくゴージャスな作りであれば、それだけで納得された時代もあったはずだが、今はもうそういう時代ではないから、逆に“高級コスメ=最先端コスメ”と考えていいのだ。少なくとも成分や素材選びなどには、金に糸目をつけないはず。
そしてもうひとつは、いわゆるプラセボ効果。「効くと思えば効く」という、暗示による効果は医学的にも証明されているわけだが、化粧品の場合は、あくまで“高価格であること”で効いてしまうプラセボ効果が加算されるということなのである。だから高級コスメはやっぱり効くと考えていい。本当に高いだけで化粧品が売れた昔と同じように……。
でも今、改めて注目を浴び始めたのが、プチプラコスメの効き目。単純に高いものほど効くという方程式からすれば、文字通り「安かろう悪かろう」の図式に当てはまってしまうわけだが、実は、そう単純な話では片付けられないのが、化粧品というもので、桁違いに安価な化粧品が、高級コスメのように効いてしまうという事例はいくらでもある。
右:化粧水の保湿力を徹底的に追求。肌に透明感としなやかさを与えてくれる。ベキュア ハニー 潤いのネイチャーローション[II]とてもしっとり 200mL 2,000円/ベキュア
いや、もちろんプチプラコスメもいろいろで、言葉は悪いが、“素性の確かなプチプラコスメ”は、ちゃんと選べばまさに全く価格に見合わないほどの、高品質と超快適が得られてしまうと考えていい。
高級コスメの高価格が、開発費によるものなら、化粧品の効き目はやはり研究開発力いかんにかかってくるわけで、たとえばエテュセや草花木果は資生堂が作っているプチプラコスメ。1,000円台のスキンケアがはっとするほどの名品だったりするのは、むしろ当然のことなのだ。
考えてもみてほしい。これまでに高級コスメの開発のために、大きな投資をしてあみ出したテクノロジーやサイエンスを、そのままそっくり使うことができるのは、ビッグブランドの研究所で作られているブランドの圧倒的な強み。
化粧品って、最強の研究所で作られたものも、街の工場みたいな所で作られたものも、一見みんな同じような形をしていて、手に取ってみても、そこまでの違いは感じない。だからこそ、そのバックにどんな研究所がいるのかを確かめてみてほしいのだ。
ポーラ研究所がバックにあるオルビスは、オルビス独自の研究開発力自体がコスメ界でも異例の注目を集めていることで、プチプラブランド界の星なのだ。一方、ベキュアハニーは、あのソニーがバックにあり、研究開発力には定評があるブランド。
2016.07.05(火)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫